[市況]
8日の、NYDowは小幅上昇し、NASDAQが小幅下落したことを受けて、9日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付きました。前場に100円安まで下げ幅を広げましたが、その後は小動きとなり、最終的に70円安で終わりました。日経平均は78円安で引け、寄り付き前の外国人は310万株の売り越しで、出来高は24.6億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、買いが有利な状態ですがピークアウト感も出てきました。
8日の米国市場は、取引材料が少なかったことや、長期金利が上昇したことも相場の重しとなり、利益を確定する動きが目立ち、NY Dowは一時約130ドル安まで下げました。米政府が近くJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、アメリカン・エキスプレスなどの公的資金の返済承認を発表するとの報道が金融株を押し上げNY Dowはプラスで引けました。
9日の日本市場では、米市場は底堅い動きでしたが、連日で年初来高値を更新していたことで高値警戒感がある中、昼休み時間帯にアジア株が軟調に推移したことを受けシンガポール市場で日経平均先物に売りが目立ち、これが投資家心理に影響し、日経平均は後場に一時100円ほど下げました。市場では米長期金利の上昇などに対する警戒感もあり、今夜の米市場を見極めたいとの様子見ムードも広がったようです。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線、25日線、9日線の上にありますので、短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+24.3%とプラス幅が縮小し、200日線との乖離率は+6.2%とプラス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が拡大しました。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上にあり、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQも、一目均衡の雲の上に在り、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、改善傾向にはあるものの、現在は日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「GM破たん処理」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMの米連邦破産法11条の適用申請が決まりましたが、市場では波乱なく通過しました。今後のテーマは短期間の再建が可能かどうか、雇用にどの程度影響するかに移ると思われます。2つめについては、米国の雇用は失業率が9.4%に増加したものの、減少幅に改善の兆しが出てきました。一方、住宅関連指標は好悪混在しています。3つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠きましたが、金融機関の不良債権が実質的に減少するがどうかは不透明です。一方、米国政府の負債拡大懸念から長期金利の上昇が新たな悪材料となる可能性が出てきました。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せておらず、輸出や雇用の減少傾向は世界的に続いています。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退していますが、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、金融機関の不良債権を増加させ、損失拡大懸念をもたらし、企業や個人の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は8日は下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在3.42ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表も終盤となり、予想PERは42.0となりました。PBRは1.3となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場以上に値を下げました、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6.%(160円の割安)となっており、日経平均は、プレミアムのマイナス幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-190円~+120円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を下回りました。
日米とも短期的にも中期的にも青信号が点灯していますが、ドルベースの日経平均は黄色信号に変化しました。プレミアムはマイナス方向に幅が大きくなりつつありますので、米国市場よりも弱い状態が続いています。サイコロジカルラインや騰落レイシオからは、過熱感は残りますが、25日線との乖離率が5%を下回り、過熱感はやや後退しました。SQを控えた水曜日は波乱となることも多く、明日の日経平均は荒っぽい動きが想定されます。
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