[市況]
16日の、NYDowとNASDAQは下落したことを受けて、17日の日経平均先物は、前日比50円安で寄り付きましたが、その後は終日堅調な動きが続き、最終的に60円高で終わりました。日経平均は87円高で引け、寄り付き前の外国人は580万株の売り越しで、出来高は25.4億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が若干縮小しました。個別銘柄に関しては、買いが有利な状態ですがピークアウト感があります。
16日の米国市場では、5月の米住宅着工件数が大きく増加し、NY Dowは午前中には小高く推移する場面もありましたが、5月の米鉱工業生産指数が前月比1.1%の低下と引き続き低調だったことや、家電量販店大手ベスト・バイの3-5月期の売上高が市場予想を下回ったことなどが嫌気され、続落しました。
17日の日本市場では、前日までの下落で400円近く下落したため過熱感がひとまず後退し、自律反発狙いの買いが優勢でした。後場もじりじりと上げ幅を拡大し、日経平均はきょうの高値圏で終えました。米国市場安にも関わらず、小売株などの内需関連や非鉄金属、鉄鋼、環境など素材関連への想定以上の個人の買いが目立ちました。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線、25日線の上にありますが、9日線の下に在りますので、短期トレンドは黄信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+22.8%とプラス幅が拡大し、200日線との乖離率は+7.9%とプラス幅が拡大しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.1ポイント上にある状態となり、日本市場は割高となりました。
NYDowは75日線の上にあり、一目均衡表では雲の上に在りますが200日線、9日線をの下に在り、25日線も下回りました。NASDAQは、一目均衡の雲の上に在り、200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドも黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、改善傾向にはあるものの、現在は日本市場が3.8イント割高となっています。
市場は現在、「GM再生処理」「実体経済の悪化に対する景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMの米連邦破産法11条の適用申請が決まりましたが、今後のテーマは短期間の再建が可能かどうか、経済指標や雇用にどの程度影響するかに移ると思われます。2つめについては、米国の雇用は失業率が9.4%に増加したものの、減少幅に改善の兆しが出てきました。一方、住宅関連指標は好悪混在しています。景気指標は前月からは悪化しています。3つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠きましたが、金融機関の不良債権が実質的に減少するがどうかは不透明です。一方、米国政府の負債拡大懸念から長期金利の上昇が懸念材料となっていますが、直近は落ち着きをとりもどしました。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せておらず、輸出や雇用の減少傾向は世界的に続いています。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退していますが、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、金融機関の不良債権を増加させ、損失拡大懸念をもたらし、企業や個人の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は16日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在3.25ル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表も終わり、予想PERは41.8となりました。PBRは1.3となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場が下落したにも関わらず上げました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.6%(240円の割高)となっており、日経平均のプレミアムはプラス幅が大幅に拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-50円~+260円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を下回りました。
日米とも引き続き短期的には黄信号ですが、日本市場は想定外の強い動きでした。プレミアムはプラス幅が拡大しましたので、明日以降は米国市場の動きより下振れする可能性が大きくなりました。一方、騰落レイシオには過熱感が有りますが、25日線との乖離率、総合乖離率などには過熱感はありません。日経平均は9日線の下に在りますので、目先は引き続き調整局面と考えられます。下値の目途は25日線近辺の9600円と見ておけば良いと思いますが、昨年の3月安、6月高との類似性を考慮すると、調整は続く可能性を意識しておくべきと思います。
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