日経平均の予想: 今こそ、長期投資に目を向ける時

Sunday, July 15, 2007

今こそ、長期投資に目を向ける時

ドイツ証券副会長、武者陵司氏はその著書「新帝国主義論」の中で、『先進国の多国籍企業は、中国やインドの極端に安価な労働力を活用することで、超過利潤を獲得する一方、情報化革命と低賃金労働力の活用で投資額を節約できるようになった。企業が設備投資をキャッシュフロー以下に留めるようになり、世界的に大幅な資金余剰が発生していることが、金利を引き下げている主因である可能性は高い。今や「地球帝国」の成立下にあって、各国経済はクローズドシステムからオープンシステムに移行しており、先進国には多国籍企業を通して、チープレーバー・ギフトという付加価値が海外から与えられ続けた結果、2003年以降、①労働生産性の上昇、②資本生産性(ROE,ROA)の上昇、③利潤率の上昇、④一般利子率の低下、が同時進行しており、この状況は今後も長期間続く』と述べています。
これを裏付けるデータとして米国の株価の割安度を示すイールド・スプレッドは9.11以降、株価は1.8倍になっているにも関わらず、マイナスのままであるという事実が有ります。すなわち、先進国では好景気、好業績、株高でも、賃金もさほど上昇せず、インフレも起こっていないと云うことです。この状況は今後も長期に渡って変化はないと思われます。
日本の場合、債権国でありながら、国内投資が伸びない結果、海外に資金が流れる構造となっており、その結果日本の多国籍企業はチープレーバー・ギフトだけでなく円安と云うギフトも与えられています。にも関わらず、日本市場は、機関投資家と個人投資家の消極的投資態度も有り、割安に放置されています。長期投資として考えると、日本市場に上場されている多国籍企業は現在バーゲン・セール中で絶好の投資タイミングと言えるのではないでしょうか。