[市況]
16日、NYDowは下落しNASDAQは上昇しました。17日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付きました。前場は80円高まで上げ幅を広げた後、前引けにかけて30円高まで戻しました、後場ははもみ合いとなりました。引けにかけて売り優勢となり、最終的に前日比30円安で引けました。日経平均は13円安で引け、出来高は19.0億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、700万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
16日の米国市場では、11月の米住宅着工件数は前月比8.9%増加し、朝方は着工件数増を好感した買いが入りましたが、午後にFRBがFOMC後の声明で雇用に関する認識の好転を示したことで長期債利回りが上昇に転じ、株式相場にはマイナスとなりました。ドルが買われ、原油相場が伸び悩み資源株の一角に売りが出たことも、NYDowの重荷になりました。
17日の日本市場は、為替が90円台へ円安シフトしたことが好感され、前場は輸出関連株を中心に買いが先行しましたが、前日急伸した銀行株の戻り売りが優勢となりました。また、亀井金融・郵政担当相によるデリバティブ規制に関する発言が上値の重しとなり、上げ幅を縮小に向かわせました。後場は模様眺めムードが強まるなか、大引けにかけて下げに転じて終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+12.0%とプラス幅が縮まり、200日線との乖離率は+6.7%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。NASDAQは、9日線、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、1.2ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、11月の小売売上高や、12月の消費者態度指数も市場予想以上となりました。11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。住宅関連では11月の住宅着工件数が増加しました。一方、11月のISM製造・非製造業景況感指数、11月の消費者態度指数は予想を下回っています。景気指標総じて米国の景気の改善を示しているようです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の新興国債務不履行波及リスクも顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は16日、下落しました。(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在3.45ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが34.7、PBRが1.27となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安にも関わらず、結局、米国市場の下落につれて下げました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.8%となり、日経平均は180円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、+120円~+310円の間で推移しています。日経平均は小高く推移したものの、前日のけん引役の銀行、証券、不動産株に利食い売りが出て、結局下落し、一目均衡表の雲の上限10200円の上に一旦は出たものの終値では上回れませんでした。今夜の米国市場では、11月の景気先行指数や11月の半導体製造装置BBレシオなどが注目されそうです。米国市場はFOMCも終了し、当面の材料出尽くし感があるようです。日経平均も一目均衡表の雲の上限をスッキリ抜けません。為替も90円まで来ましたので円高への振れも考えられます。一方、外人投資家がクリスマス休暇となり、年末は個人投資家中心の相場となるので、下値も限定的と思われます。大きな材料がなければ、目先は雲の中でのもみ合いが想定されます。
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