[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では、低金利の中、経済指標の予想以上の発表が続いたこともあり、短期的には景気回復期待相場が続いています。一方、中長期的には、米国を中心とする先進国の消費の低迷や雇用の悪化などによる個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、今週は、11月鉱工業生産、FOMC、住宅関連指標などが注目されそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.6ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは34.3で、S&P500のPERの18.0と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は堅調な動きでした。今週も堅調な展開が予想されます。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.6%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.2-2.3%で推移し、為替は88から89円台と円安ぎみに推移しました。円は積極的に買われにくい環境ですので、今週は、87-90円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+0.7%となり、米国は+0.9%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤12月1週の外人は買い越しでしたが、12月2週も小幅買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、9.0ポイント割安となり、先週比割安幅は1.4ポイント縮小しました。
一目均衡表では、雲の中に在り、200日移動平均線乖離率は+6.7%となり先週と比較してプラス幅が拡大し、総合乖離率は+11.2%となりプラス幅が拡大しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の上に在りますので、短期的には"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在ります。短期的には"青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の日本市場は、日銀と政府の円高、デフレ対策効果や米市場高、中国経済の好調維持などで、急反発後の調整から脱しつつあります。来週は三菱UFJ FGの公募価格決定後にアク抜け感が出る可能性が考えられます。円相場は90円が限界と考えるとボリンジャーバンドの+2σの10270円どころが目先の上値の目途となりそうです。一方、リスクは円高に振れる可能性があることです。
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