[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では、ドバイの信用不安によるリスク回避の動きは1日で消え、低金利の中、短期的には景気回復期待相場が続いています。一方、中長期的には、米国を中心とする先進国の消費の低迷や雇用の悪化などによる個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、今週は、バーナンキFRB議長講演、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.8ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは34.6で、S&P500のPERの17.6と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は高値もみ合いでした。今週は堅調な展開が予想されます。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.6%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.0-2.2%で推移し、為替は85から90円台に急落しました。金利差に変化が出てきましたので、今週は、88-92円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+0.7%となり、米国は+0.9%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤11月4週の外人は買い越しでしたが、11月5週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は③⑤が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、10.4ポイント割安となり、先週比割安幅は10.3ポイント縮小しました。
一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は+6.5%となり先週と比較してプラス幅が拡大し、総合乖離率は+9.5%となりプラス転換しました。3つがマイナスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の上に在りますので、短期的にも"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在ります。短期的には"黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の日本市場は、ドバイ・ショックによる世界的なリスク回避の動きが加速しなかったことや、日銀と政府の円高、デフレ対策が功を奏し、急反発し200日線を上回わりました。円相場は週末にさらに円安に振れていますので、週初の日本市場は一段高となりそうです。日経平均は安値から1000円以上の上昇となり、そろそろ一服しそうなレベルに到達しそうです。ボリンジャーバンドの+2σの10150円が目先の上値の目途と考えるところですが、今回は急激な円安を伴っています。円安分を500円と見ると1500円の上昇幅は有っても良いとも考えられます。さらに92円程度まで円安が続くと仮定すると8月26日の終値ベースの年初来高値10640円に接近する可能性も考えられます。
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