[市況]
2日、NYDowは下落しNASDAQは上昇しました。3日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付きました。その後も終日堅調な動きが続き、最終的に320円高で引けました。日経平均は368円高で引け、出来高は24.9億株と低水準ながら増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1800万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利の状態です。
2日の米国市場では、ADPが発表した11月の全米雇用リポートで、雇用者数の前月比の減少幅は予想より膨らみました。米地区連銀経済報告は景気の総括判断を前回10月から上方修正しましたが、いずれも、ややマイナス材料となりました。また、原油が下落して石油株が売られました。アナリストが損益見通しを下方修正したJPモルガン・チェースなど金融大手の一部も売られ、相場の悪材料となりました。一方、金が最高値を連日で更新したことで素材株が買われたため相場の下げ幅は限られました。
3日の日本市場は、円高一服に加え、朝方の外国人投資家の買い越し額が膨らんだことが投資家心理の改善につながりました。後場、株式少額投資に対する非課税化観測が一部で報じられると、後場に入って一段高となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線の上に在り、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は+8.1%とプラス転換し、200日線との乖離率は+6.1%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線の上に在り、75日線および一目均衡表の雲を上回りました。
NYDowは9日線、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。NASDAQは、9日線、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が10.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、2.6ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が1.0ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや、11月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の小売売上高などは、市場予想を上回っています。米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、労働生産性指数は上昇しました。一方、住宅関連では10月の仮契約住宅販売指数が増加したものの10月の住宅着工件数が大幅に減少しました。11月のISM製造業景況感指数や、11月の消費者態度指数は予想を下回り、設備投資も弱さがあります。10月の失業率は10%を超えています。景気指標はまちまちです。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、地銀の不良債権問題や、ノンバンク大手CITの破綻の影響も懸念されます。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は2日、変化はありませんでした。(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在4.10ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが34.3、PBRが1.25となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安ぎみだったこともあり、米国市場のまちまちな動きにも関わらず、大幅上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均は200円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-600円~+200円の間で推移しています。
日経平均は日銀と政府のデフレ円高対策を好感し、日本市場の独歩安の修正に動き25日線を大きく上回りました。しかし、75日線には届きませんでした。今夜の米国市場は、11月のISM非製造業景気指数、11月のチェーンストア売上高、7~9月の労働生産性などが注目されそうです。日本市場はそろそろ短期的にリバウンドの最終フェーズと思われますが、75日線の10050円からボリンジャーバンド+2σの10150円近辺の水準で、頭を押さえられると考えておくのが無難でしょう。
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