[市況]
10日、NYDowとNASDAQは上昇しました。11日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付きました。前場は100円高まで上げ幅を縮める場面もありましたが、後場に一段高となった後も買いが続き、最終的に270円高で引けました。日経平均は245円高で引け、出来高は27.3億株とSQ日にしては低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、380万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
10日の米国市場では、10月の米貿易赤字は329億ドルと、市場の予想を下回ったことが好感されました。週間の新規失業保険申請件数も引き続き低水準と受け止められ、米雇用の持ち直し期待を裏付ける形になり相場を支えました。法的手続きを完了したと発表した米金融サービス大手CITグループの新株は、初値を上回って終えました。
11日の日本市場は、前日の米市場高を好感したほか、メジャーSQ算出に絡む売買が予想に反し、買い越しとなり、朝方から買いが先行しました。前引けにかけて上げ幅は縮小しましたが、中国経済指標が概ね良好な内容となり、後場に入ると一段高となりました。その後も為替が円安方向へ振れたことが支援材料となり、大引けにかけて上げ幅を拡大させました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+11.2%とプラス幅が拡がり、200日線との乖離率は+6.7%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあり、9日線を上回りました。NASDAQは、9日線、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.0ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、2.3ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや、11月のシカゴ購買部協会景気指数は、市場予想を上回っています。米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。一方、住宅関連では10月の仮契約住宅販売指数が増加したものの10月の住宅着工件数が大幅に減少しました。11月のISM製造・非製造業景況感指数、11月の消費者態度指数や11月の小売売上高は予想を下回りました。景気指標はまちまちです。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の新興国債務不履行波及リスクも顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は10日、上昇しました。(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在3.87ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが34.5、PBRが1.26となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安に振れたこともあり、米国市場の上昇率以上に上げました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.1%となり、日経平均は300円の割高で、割高幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、+120円~+430円の間で推移しています。日経平均はSQを上回って投資家心理が改善したようです。米国市場も切り返してきました。今夜の米国市場では、11月の小売売上高や12月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されそうです。今後の日経平均の動きとしては一目均衡表の雲の上限10200円の上で推移できるかどうかに注目したいと思います。実現すれば、短期的に一段高が望めそうです。
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