[市況]
3日、NYDowとASDAQは下落しました。4日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付きました。前場は利食い売りも出て50円安まで下げた後に寄り値まで戻す動きでした。後場は方向感に乏しい展開でしたが、最終的に50円高で引けました。日経平均は44円高で引け、出来高は23.2億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、3460万株の大幅買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利の状態です。
3日の米国市場では、11月のISM非製造業景況感指数や小売り各社の既存店売上高が予想を下回ったことが嫌気されました。ただ、バンク・オブ・アメリカの公的資金返済発表や新規失業保険申請件数の減少が好感され、NYDowは高く推移する場面もありました。
4日の日本市場は、朝方の外国人投資家の売買注文状況が大幅な買い越しとなり、寄付きは1万円大台を回復しました。ただ、急ピッチな上昇に対する反動や、米雇用統計の発表を控えた週末とあって、寄り後は利益確定売りが優勢となりました。後場はアジア株市場の軟調推移を背景に前日終値を挟んで一進一退で推移しました。しかし、大引けにやや上げ幅を広げて取引を終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+9.5%とプラス幅が拡大し、200日線との乖離率は+6.5%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲を上に在ります。
NYDowは25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にありますが9日線を下回りました。NASDAQは、9日線、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、1.2ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや、11月のシカゴ購買部協会景気指数は、市場予想を上回っています。米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、労働生産性指数は上昇しました。一方、住宅関連では10月の仮契約住宅販売指数が増加したものの10月の住宅着工件数が大幅に減少しました。11月のISM製造・非製造業景況感指数、11月の消費者態度指数や11月の小売売上高は予想を下回りました。10月の失業率は10%を超えています。景気指標はまちまちです。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、地銀の不良債権問題や、ノンバンク大手CITの破綻の影響も懸念されます。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は3日、下落しました。(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在4.05ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが34.4、PBRが1.26となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安ぎみだったこともあり、米国市場下落にも関わらず、上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.1%となり、日経平均は290円の割高となり割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-410円~+320円の間で推移しています。
日経平均は日銀と政府のデフレ円高対策を好感し、日本市場の独歩安の修正が続いています。日本市場は短期的なリバウンドの最終局面に到達したと思われます。目先の目標の一つの75日線には、ほぼ到達しました。今夜の米国市場は、11月の雇用統計が注目されそうです。良い結果が出て、ここからさらに上げても、10月28日の窓埋めとなる10060円からボリンジャーバンド+2σの10150円近辺の水準で、頭を押さえられるとの考えが無難でしょう。
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