[市況]
12月3日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。12月4日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は270円高から110円安と下落に転じ、午後は110円安から240円高とプラス圏に戻して、結局、120円高で取引を終えました。日経平均の終値は27円高の39276円で、出来高は18.97億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
12月3日の米国市場では、今月のFOMCでFRBが利下げ継続を決めるとの観測が投資家心理を支え、株買いをさそいました。10月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が市場予想を上回ったことも追い風となりました。ただ、高値警戒感に加えて11月の雇用統計を見極めたいとの雰囲気も強く、積極的な買いは手控えられました。結局、NYDowは続落し、NASDAQは3日続伸しました。NASDAQとS&P500は連日で過去最高値を更新しました。
12月4日の日本市場では、日銀が今月の金融政策決定会合で政策を据え置く可能性について報じられたことが材料視され、円安圧力につながるとみた買いが入りました。半導体関連株は方向感に乏しい値動きでした。日経平均は小幅に3日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+5.5%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+1.6%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.5ポイントと前日よりマイナス幅を拡げ、日経平均が4120円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-9.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3530円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.62と前日より低下し、VIXも13.30と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.1と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.20ポイント(日経平均換算で79910円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月の耐久財受注、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.95、PBRが1.45となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.3%で、こちらは3か月より0.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均の割高幅は250円から470円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1050円~+470円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.14ポイントから3.18ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
12月4日の米国市場では、11月のADP雇用統計、10月の製造業新規受注、11月のISM非製造業景況指数、地区連銀経済報告(ベージュブック)のほか、キャンベル・スープ、ダラー・ツリー、ホーメル・フーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを320円ほど下回り、下値は想定ラインを330円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39740円近辺)が上値の目安に、25日線(現在38730円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は小幅に続伸しました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39737円)近辺に向けて、上昇の継続が期待できそうです。
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