[市況]
12月13日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。12月16日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付くと、午前中は220円高から20円安の間で上下し、午後は50円高から100円安の間でもみあって、結局、10円安で取引を終えました。日経平均の終値は12円安の39457円で、出来高は15.28億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。
12月13日の米国市場では、今月のFOMCで利下げ継続が決まるとの観測が投資家心理を支える一方、長期金利の上昇が重石となり、株売りをうながしました。ただ、週末を控えた持ち高調整の買いや、短期的な過熱感が薄れたとみた押し目買いも入り、下値を支えました。また、好材料が出たテスラには買いが集まりました。結局、NYDowは7日続落し、NASDAQは小幅に反発しました。
12月16日の日本市場では、前週末の米半導体株高を受けて値がさの半導体関連株に買いが向かいました。10月の機械受注統計が市場予想を上回ったことも追い風となりました。一方、指数寄与度の高いファストリなど消費関連株には売りが向かい、指数の重石となりました。日経平均は一進一退で推移し、結局、小幅に続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+6.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+2.0%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-11.7ポイントと前日比横ばいで、日経平均が4620円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-5.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2290円ほど割安であることを示しています。
日経VIは21.09と前日より低下し、VIXも13.81と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.1と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.06ポイント(日経平均換算で71560円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.86、PBRが1.44となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より0.1ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は880円から740円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+740円~+1130円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.29ポイントから3.33ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
12月16日の米国市場では、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを560円ほど下回り、下値は想定ラインを20円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39870円近辺)が上値の目安に、25日線+200円(現在39030円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は小幅に続落しました。何か目新しい材料が出ない限りは、想定レンジ内での調整が続きそうです。
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