[市況]
12月11日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。12月12日の日経平均先物は、前日比450円高で寄り付くと、午前中は420円高から690円高の間で上下し、午後は660円高から420円安の間で上下して、結局、420円高で取引を終えました。日経平均の終値は476円高の39849円で、出来高は19.32億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。
12月11日の米国市場では、朝方に発表された11月の消費者物価指数(CPI)が概ね市場予想と一致したことから、FRBの利下げ方針に変化はないとの観測が強まり、ハイテク株を中心に買いが広がりました。一方、ユナイテッドヘルス・グループやJ&Jといったディフェンシブ株は売られ、指数の重石となりました。結局、NYDowは5日続落しました。NASDAQは3日ぶりに反発し、過去最高値を更新しました。
12月12日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を追い風に半導体関連株が買われ、指数を押し上げました。オプション12 月物のSQ算出を13日に控えて株価指数先物が買われ、現物株を押し上げた面もありました。もっとも、日経平均が節目の4万円を越えると利益確定の売りや戻り待ちの売りが強まり、上値が重くなりました。日経平均は4日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+9.3%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+3.0%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-11.5ポイントと前日よりマイナス幅を拡げ、日経平均が4580円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-5.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2310円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.09と前日より低下し、VIXも13.58と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.2と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.13ポイント(日経平均換算で78830円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.09、PBRが1.46となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.5%で、こちらは3か月前より0.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.9%となり、日経平均の割高幅は850から1130円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+330円~+1130円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.18ポイントから3.25ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
12月12日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、11月の生産者物価指数(PPI)、欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表のほか、ブロードコム、コストコホールセール、ノードソンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを210円ほど上回り、下値は想定ラインを900円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ-200円(現在40410円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在39360円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は4日続伸しました。今夜発表の米PPI次第ですが、テクニカルにはピークアウトの可能性もあり、ここが正念場です。
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