[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、FRBが2025年の利下げペースが鈍化する見通しを示したことで、米長期金利が上昇して、週間で株価指数は下落しました。
週間変動率 NYダウ:-2.25%,
NASDAQ:-1.78%, S&P500:-1.99%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.22ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが22.0対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.6との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。
現在の日経平均の価格に対して、2025年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.22ポイント拡大する。(日本が下方修正又は米国が上方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが46.0程度になる。又は、日経平均が113,880円程度となる。
結果的に、中長期的に日本市場は75,170円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、75,170円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2025年GDP予測値(現在+3.0%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。
② 決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.3ポイント改善しています。また、利益伸び率は+2.5%となりました。3ヶ月前に比べて-0.6%ポイント悪化しています。
③ 米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.37から3.48と拡大して、ドル円は153円台から157円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.81%上昇しました。
④ OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.3%で、米国は+4.4%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.1ポイント劣ります。
⑤ 12月第2週は売り超しで、12月第3週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱き材料で、③が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に11.1ポイント(日経平均に勘算すると4300円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に5.2ポイント(日経平均に勘算する2010円程度)割安です。
日本市場はNYダウとNASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
18.4 と上昇しました。 日経 VI は 週間で 23.7と上昇しました。米国市場はやや悲観的で、日本市場は悲観的です。
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"青信号”が点灯しています。
日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。総合乖離率は+0.2%、200日移動平均線との乖離率は+0.0%。これら3つの要因がプラスであるため、中期トレンドには"青信号”が点灯しています。
米国市場では、NYダウは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の中に在ります。
NASDAQも、25日線・200日線の上にありますが、9日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の中に在ります。
短期的には"黄信号”で、中期的にも"黄信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念は後退しています。また、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などがリスク要因として存在します。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。
日本市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。
為替市場を分析すると、2024年6月につけた162円台をピークに円高方向に転換しています。今週は155円から159円が想定されます。
今週の米国市場では、消費者信頼感指数、耐久財受注、新築住宅販売件数などが注目されます。世界的には、英国のGDP、日本の日銀総裁講演、東京都区部消費者物価指数などが注目されます。
先週の日経平均は、想定レンジを下振れしました。上値は想定を70円ほど下回り、下値は想定ラインを500円ほど下回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在39370円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在38340円近辺)の間での動きが想定されます。
今週は、米長期金利の動きに影響を受けそうですが、想定レンジ内でのもみあいとなる可能性が高そうです。
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