[市況]
12月6日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。12月9日の日経平均先物は、前日比340円高で寄り付くと、午前中は430円高から60円安の間で上下し、午後は210円高から30円高の間でもみあって、結局、180円高で取引を終えました。日経平均の終値は69円高の39160円で、出来高は17.98億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
12月6日の米国市場では、短期的な過熱感が意識され、主力株の一角に利益確定の売りが出ました。一方、朝方に発表された11月の雇用統計は市場予想をやや上回ったものの、FRBが利下げ方針を見直すほどではないと受け止められ、買い安心感につながりました。金利の上昇に一服感が出ていることも、ハイテク株への買いをさそいました。結局、NYDowは続落しましたが、NASDAQは反発し、4日ぶりに過去最高値を更新しました。
12月9日の日本市場では、前週末の米株式市場でハイテク株が買われた流れが引き継がれ、幅広い銘柄に買いが優勢となりました。ただ、値がさの半導体関連株には利益確定の売りが出やすく、指数の重石となりました。日米の金融政策決定会合を来週に控えて様子見ムードも強く、持ち高を一方に傾ける動きは限定的でした。結局、日経平均は小幅に反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+4.3%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+1.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-12.7ポイントと前日よりマイナス幅を拡げ、日経平均が4980円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-9.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3520円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.68と前日より低下し、VIXも12.77と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.3と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.10ポイント(日経平均換算で72170円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注、10月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.80、PBRが1.43となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月より0.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.7%となり、日経平均の割高幅は330円から630円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+250円~+630円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.13ポイントから3.11ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
12月9日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。オラクルやトール・ブラザーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在39670円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在38580円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、弱まりました。きょうの日経平均は小幅に反発しました。半導体関連株が復調しなければ、目先は弱含みの展開が続きそうです。
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