[市況]
12月12日、NYDowとNASDAQは下落しました。12月13日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付くと、午前中は40円安から570円安と下落幅を拡げ、午後は450円安から300円安の間でもみあって、結局、340円安で取引を終えました。日経平均の終値は378円安の39470円で、出来高は19.94億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
12月12日の米国市場では、11月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことから、インフレへの警戒感が再燃し、利益確定の売りや戻り待ちの売りが優勢となりました。わけても、ハイテク株への売りが目立ちました。一方で、FRBが利下げを継続するとの期待は、引き続き投資家心理を支えました。NYDowは6日続落し、NASDAQも反落しました。
12月13日の日本市場では、短期的な過熱感が意識されるなか、前日の米株安をきっかけに、幅広い銘柄で利益確定の売りが優勢となりました。一方、外国為替市場の円安ドル高進行と歩調を合わせて株価指数先物に押し目買いが入り、相場全体を下支えしました。日経平均は5日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+6.3%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-11.7ポイントと前日よりマイナス幅を拡げ、日経平均が4620円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-6.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2410円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.16と前日より上昇し、VIXも13.92と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.1と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.24ポイント(日経平均換算で81850円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.90、PBRが1.45となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より0.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.3%となり、日経平均の割高幅は1130から880円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+630円~+1130円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.25ポイントから3.29ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
12月13日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを470円ほど下回り、下値は想定ラインを110円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ-200円(現在40410円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在39360円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。一方、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。日足チャートの形は、ピークアウトした可能性をうかがわせます。目先は調整が続きそうです。
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