[市況]
12月18日、NYDowとNASDAQは下落しました。12月19日の日経平均先物は、前日比760円安で寄り付くと、午前中は990円安から340円安と下落幅を縮め、午後は550円安から120円安と下落幅を縮めて、結局、120円安で取引を終えました。日経平均の終値は268円安の38813円で、出来高は22.89億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は強まりました。
12月18日の米国市場では、FOMCで参加者の利下げに慎重な姿勢が露わとなり、2025年の利下げ回数も前回会合で示された4回から2回に半減したことから、金利高止まりへの警戒感が強まり、株売りが広がりました。長期金利の上昇も、株価の重石となりました。NYDowは大幅に10日続落し、NASDAQも大幅に続落しました。NYDowの10日続落はおよそ50年ぶりとのことです。
12月19日の日本市場では、前日の米株安を受け、幅広い銘柄にリスク回避の売りが向かいました。ただ、米金利の先高観から円売りドル買いが広がったことが支えとなり、売り一巡後の指数は底堅さを見せました。日銀の金融政策決定会合で追加利上げが見送られたことも安心感につながりました。日経平均は5日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は+1.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の下にあり、25日線と200日線を下回りました。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3880円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-3.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1440円ほど割安であることを示しています。
日経VIは23.45と前日より上昇し、VIXも27.62と急上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.4、米国-0.1と日本が5.3ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.30ポイント(日経平均換算で79480円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売仮契約指数、10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、11月の住宅着工件数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは12月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しましたが、2025年の利下げ回数は前回会合で示された4回から2回に半減しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.62、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+2.4%で、こちらは3か月前より0.3ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.0%となり、日経平均の割高幅は830円から1180円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+670円~+1180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.33ポイントから3.47ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
12月19日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、7~9月期のGDP確定値、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の中古住宅販売件数のほか、フェデックス、ナイキ、アクセンチュア、カーマックス、カーニバル、レナーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを560円ほど下回り、下値は想定ラインを300円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在39270円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ(現在38330円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は5日続落しました。目先は、円安で底堅い展開が続きそうですが、結局は米国株の軟調な展開がいつまで続くかが鍵となりそうです。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。