[市況]
12月17日、NYDowとNASDAQは下落しました。12月18日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は270円安から20円安の間で上下し、午後は100円安から310円安の間で上下して、結局、200円安で取引を終えました。日経平均の終値は282円安の39081円で、出来高は21.10億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
12月17日の米国市場では、FOMCの結果公表を控えて様子見ムードが強まるなか、11月の小売売上高が消費の底堅さを示す数値だったことから、25年の利下げ頻度が低下するとの観測が強まり、幅広い銘柄に売りが出ました。NYDowは9日続落し、NASDAQは3営業日ぶりに反落しました。
12月18日の日本市場では、前日の米株安を受けてソフトバンクグループなど値がさ株を中心に売りが出て、指数を押し下げました。一方、ホンダと経営統合に向けて協議中と報じられた日産自動車が上昇し、他の自動車株にも買いが波及しました。また、追加利上げへの思惑から、銀行や保険の一角が買われました。日経平均は4日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+3.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-13.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が5280円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-5.8ポイントと前日比横ばいで、日経平均が2270円ほど割安であることを示しています。
日経VIは21.72と前日より上昇し、VIXも15.87と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.1と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.14ポイント(日経平均換算で72200円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、10月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.7万人増で、市場予想の21.4万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.68、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+2.6%で、こちらは3か月前より0.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均の割高幅は670円から830円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+670円~+1130円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.33ポイントから3.33ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
12月17日の米国市場では、FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見や、11月の住宅着工件数のほか、マイクロン・テクノロジーやゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを400円ほど下回り、下値は想定ラインを140円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在39460円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在38640円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は4日続落しました。FOMCで示される今後の利下げスケジュールが市場の想定の範囲内であれば、目先は反転も期待できそうです。
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