[市況]
12月2日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。12月3日の日経平均先物は、前日比220円高で寄り付くと、午前中は120円高から760円高と上昇幅を拡げ、午後は670円高から960円高の間で上下して、結局680円高で取引を終えました。日経平均の終値は735円高の39248円で、出来高は21.36億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。
12月2日の米国市場では、高値警戒感から主力株の一部に利益確定の売りが出ました。トランプ次期大統領の関税政策の不透明感も投資家心理の重石となりました。一方、11月のISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことは好感されました。また、テスラや半導体株など、ハイテク株の一部には買いが向かいました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは続伸しました。NASDAQとS&P500はともに過去最高値を更新しました。
12月3日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株が買われました。日本やオランダが米国の新たな半導体製造装置輸出規制の対象から外れると報じられたことも追い風となりました。また、株価指数先物に売り方の買い戻しが強まり、指数を押し上げました。日経平均は大幅に続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上にあり、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+5.4%とプラスに転換し、200日線との乖離率も+1.5%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.2ポイントと前日よりマイナス幅を縮め、日経平均が4000円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-9.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3690円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.89と前日より低下し、VIXも13.34と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.1と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.15ポイント(日経平均換算で77310円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月のISM製造業景況指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月の耐久財受注、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気面と金利面で中立です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.99、PBRが1.45となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.6%で、こちらは3か月より0.5ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均は770円の割安から250円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1750円~+250円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.15ポイントから3.14ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
12月3日の米国市場では、10月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数のほか、セールスフォースなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを510円ほど上回り、下値は想定ラインを620円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39700円近辺)が上値の目安に、25日線(現在38720円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は大幅に反発し、11月25日の高値を上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39700円)近辺への上昇が期待できそうです。
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