[市況]
16日の、NYDowとNASDAQは小幅上昇しました。17日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付きました。前場はやや下げ幅を縮める動きでした。後場は逆に、やや下げ幅を拡大する動きでしたが、最終的に80円安で終わりました。日経平均は67円安で引け、出来高は15.0億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、40万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
16日の米国市場では、5月の住宅着工件数が前月比10%減の593000戸と1年ぶりの減少幅になり、市場予想も大きく下回ったことで、朝方は関連の深い個人消費関連株などが売られました。一方、5月の鉱工業生産指数は前月比1.2%上昇し、3ヶ月連続プラスとなり、市場予想を上回ったことや、ユーロの対ドル相場が落ち着いた動きとなったことも株式相場を支えました。
17日の日本市場では、前日までの5日続伸を受け、朝方は利益確定売りがやや優勢となりました。為替が円高方向へ推移したことも影響し、戻りは限定的となりました。後場は連休明けの上海株市場が下げに転じたことで、日経平均は節目の1万円を割り込む場面もありましたが、その水準では押目買いも入り、大引けにかけては方向感に乏しい展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は-5.9%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-3.0%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の下に在りますが、9日線、25日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは9日線、25日線、200日線、の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.5ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅0.7ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.01ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、5月の小売売上高、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、5月の住宅着工件数が予想以下となり、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちでしたが6月は改善傾向です。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 06月14日 0.5371% → 06月15日 0.5389% → 06月16日 0.5389%と落ち着いてきましたが、上昇傾向は続いています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は16日、変らずでした。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.99ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.1、PBRが1.15、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にも関わらず下落しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、プラス幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ1週間、-140円 ~ +130の間で推移しています。日本市場は、円高ぎみとなり米国市場より弱い動きとなりました。今夜の米国市場は、5月のコンファレンスボード景気先行指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数が注目されそうです。日米とも、25日線を超え、米国市場は200日線も抜きましたが、日経平均は3空を含む5連騰後でもあり、利益確定売りが出て下落しました。昨日、6月4日のW型ボトムの戻り高値を上回りましたので、今回の下げの安値は6月9日の9378円だったと考えてよさそうです。一方、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化と景気回復の両立の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に大きな変化は見られません。また、LIBORの上昇傾向も続いており、欧州の銀行間の疑心暗鬼は続いています。今後も欧州で悪材料が出れば大幅下落するリスクは有りそうですが、その場合でも9378円を下回る可能性は少なくなったようです。この先、日経平均も200日線までの戻りがあっても良さそうです。しかし、昨日の窓は埋め切れていませんので、目先は9900円あたりまでの下落があっても良いと思われます。
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