日経平均の予想: [2010/06/11]日経平均の今後の見通し

Friday, June 11, 2010

[2010/06/11]日経平均の今後の見通し

[市況]
10日の、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。11日の日経平均先物は、前日比190円高で寄り付きました。前場は240円高まで上げる場面もありましたが、後場は上げ幅を縮める動きとなり、一時130円高となりましたが、最終的に200円高で終わりました。日経平均は162円高で引け、出来高は28.2億株とSQ日で増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、380万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
10日の米国市場では、中国の5月の貿易統計が、輸出入ともに前年同月比で大幅に増えたことや、週間の米新規失業保険申請件数がほぼ予想の範囲内だったことで、世界景気の先行き不透明感が後退したと受け止められました。また、ECBのトリシェ総裁が、政策金利の現状維持を決めた理事会後の記者会見でユーロ圏の国債購入などを当面継続するとの意向を示したことや、ドイツの連邦憲法裁判所が、同国が総額7500億ユーロのユーロ圏の緊急融資制度に参加しないよう求める仮差し止め請求を却下したことなどで、信用不安懸念がやや後退したことも重なり、株価指数は大幅に上昇しました。
11日の日本市場では、米国市場の大幅反発を受けて、朝方から買いが優勢となりました。寄り後も円高一服を背景に輸出関連株がジリジリと上昇したほか、亀井郵政・金融担当相の辞任表明を受け、銀行株にも買いが入り、上げ幅は一時220円超へ拡大する場面がありました。後場は、中国の5月の消費者物価指数が目標の3%を上回ったことで、金融引き締め警戒感が強まったことや、週末を控えた模様眺め気分もあり、上げ幅をやや縮小させました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。総合乖離率は-15.6%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は-5.9%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅0.9ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.04ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちとなり、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 06月08日 0.5369% → 06月09日 0.5366%0 → 6月10日 0.5364%と高止まりながら、若干下げて落ち着いています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は10日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.90ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.0、PBRが1.14、ROEが6.7%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)-0.8%となり、日経平均は90円の割安で、マイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-200円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、米国市場より弱い動きとなりました。今日は、午後に中国の利上げ懸念が出たことが原因のようです。今夜の米国市場は、ユーロの動きの他、5月の小売売上高、6月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が注目されそうです。ユーロは三角持ち合いから、目先の上離れが継続していますが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場も勢いはありません。日米とも25日線超えにチャレンジする動きとなりそうですが、問題は解決されたとは言えず、すんなり上回るのは困難と思われます。その先も日本市場の低迷は続きそうです。下値切り上げ型を確認するまでは、本格反転は期待薄と思われます。


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