[市況]
21日の、NYDowとNASDAQは小幅下落しました。22日の日経平均先物は、前日比90安で寄り付きました。前場は50円安まで下げ幅を縮める場面もあり、買いが優勢な展開でした。後場は徐々に売りが優勢となり、最終的に230円高で終わりました。日経平均は125円安で引け、出来高は16.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、420万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
21日の米国市場では、人民元の弾力化発表は世界経済にもプラスとの受け止め方が広がり、輸出関連株を中心に買いが先行しました。一方、欧州金融機関の格下げなどを受けて午後にユーロが売られたことで、運用リスク回避の動きが原油など商品相場に出て、急速に水準を切り下げました。つれて米株も下げに転じて終了しました。米市場は最近、急ピッチで反発してきた後とあって、ハイテク株などを中心に利益確定売りが出た面もありました。
22日の日本市場では、米国市場安の流れを受け、朝方から利益確定売りが優勢となりました。前場は下げ渋る場面もありましたが、後場に入ってアジア市場の方向感に乏しい推移もあり、外部環境を見極めたいとのムードから徐々に値を下げる展開となりました。大引けにかけては円高・ユーロ安を嫌気した売りがさらに優勢となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は-2.3%とマイナス転換しました。200日線との乖離率は-1.8%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号から赤信号へ変りました。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の下に在りますが、9日線、25日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは9日線、25日線、200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.3ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.14ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、6月のフィラデルフィア連銀景気指数、5月の景気先行指数、5月の小売売上高、5月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、5月の住宅着工件数が予想以下となり、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月、6月の景気指標はまちまちです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、人民元弾力化の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 06月17日 0.5393% → 06月18日 0.5382% → 06月21日 0.5384%と落ち着いてきており、低下傾向となりました。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は21日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.02ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.2、PBRが1.16、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)+1.1%となり、日経平均は100円の割高で、プラス幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ1週間、-20円 ~ +250の間で推移しています。日本市場は、ユーロ安で、米国市場と比べて弱い動きとなりました。今夜の米国市場は、欧州市場の動きや5月の中古住宅販売件数が注目されそうです。ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化と景気回復の両立の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に大きな変化は見られませんが、市場はこの材料にそろそろ厭きてきた面もあるようです。さらに、LIBORもやや下降に転じましたので、安心感も出てきたようです。今後も欧州で悪材料が出れば大幅下落するリスクはまだ残っていますが、その場合でも6月9日の安値9378円を下回る可能性は少なくなったようです。昨日の上昇で日経平均は下降中の200日線とボリンジャーバンド+2σに接近し、今日は跳ね返されましたので、目先は、直前の窓埋めとなる6月18日の高値10029円や6月14日の高値9920円を目指す動きとなりそうです。
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