[市況]
7日の、NYDowと、NASDAQは大幅下落しました。8日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付きました。前場は70円高まで値を戻す動きとなりました。後場寄り直後に80円高まで上昇しましたが、その後は上げ幅を縮め、最終的に20円高で終わりました。日経平均は17円高で引け、出来高は18.1億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1000万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
7日の米国市場では、注目される経済指標の発表などが無いなか、前週末に大きく下げた反動から相場が上げる場面もありましたが、ハンガリーの財政問題など欧州で財政不安が拡大するとの警戒感が、引き続き相場の重荷となりました。欧州の財政不安を背景に、ユーロが対ドルで4年3ヶ月ぶりの安値を更新し、アジア・欧州市場も下げるなど、投資家のリスクを回避する動きが活発化した流れが続き、米国市場でも売りが優勢となりました。
8日の日本市場では、朝方は米国市場安を嫌気して売りが先行しました。寄り後直後は一時80円超下落しましたが、為替が円安方向へ振れていることを受け、その後は下げ幅を縮小する動きとなりました。下値圏では年金買い観測などもあり、前場中ごろには上げへ転じました。後場寄り直後はアジア市場の堅調推移も安心感を誘い、上げ幅を60円超へ拡大させる場面もありました。その後は手掛かり材料難から戻り売りが優勢となり、大引けにかけては次第に方向感の乏しい展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-22.2%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は-7.6%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.5ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅2.3ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.1ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちとなり、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 6月03日 0.5378% → 06月04日 0.5365% → 06月07日 0.5372%と落ち着きましたが若干上げています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は7日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.64ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.6、PBRが1.11、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.4%となり、日経平均は40円の割高で、プラス幅転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-210円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、円安もあり米国市場より強い動きとなりました。今夜の米国市場は、重要な経済指標の発表がなさそうです。ユーロの反発力は弱いようで、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場も冴えない動きが続いています。テクニカルな指標が売られ過ぎを示していましたので、売り方も突っ込み売りも仕掛けづらかったようです。目先は米国市場が年初来安値を更新するか否かが焦点となりそうです。いずれにせよ、日本市場の低迷は長引きそうです。
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