[市況]
4日の、NYDowと、NASDAQは大幅下落しました。7日の日経平均先物は、前日比300円安で寄り付きました。前場はさらに値を下げる動きとなり一時440円安となる場面がありました。後場は多少戻す動きもあったものの大引けにかけて売られ、最終的に420円安で終わりました。日経平均は380円安で引け、出来高は20.1億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、640万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
4日の米国市場では、5月の雇用統計が43万人増加と10年2ヶ月ぶりの大幅増でしたが市場予想の51万人を下回り、民間部門が大幅減少となったことで失望売りが膨らみました。ハンガリー政府関係者による「財政状況が深刻」と発言を受けて、欧州の財政不安に対する警戒感が改めて強まり、投資家による運用リスク回避売りが出たことも響きました。
7日の日本市場では、前週末の米国市場の急落を受け、朝方から全面安となりました。売り一巡後もユーロ安が進行したほか、アジア市場の軟調推移を受け、日経平均株価は前引けにかけて一時400円近く下落し、9500円割れ寸前まで売られる場面がありました。その後は円高が一服したほか、菅新政権への期待感やユーロ圏財務相会合の動向などを見極めたいとのムードから、下値圏で下げ渋る動きとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在り、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-23.3%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-7.8%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、25日線の下に在り、200日線、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。中期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅0.2ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.04ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちとなり、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 06月01日 0.536% → 06月02日 0.5375% → 6月03日 0.5378% → 06月04日 0.5365%と若干下げました。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は4日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.79ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.5、PBRが1.12、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均は40円の割安で、マイナス幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-210円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、米国市場と均衡しています。今夜の米国市場は、4月の消費者信用残高の発表が注目されそうです。ユーロはまた下落しました。ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場も冴えない動きが続いています。日経平均は25日線まで戻すことなく下落し、弱さを改めて示しました。ここからは、年初来安値を更新するか否かに注目する必要がありそうですが、25日線乖離率が-5.7%、騰落レシオが65.4など売られ過ぎを示していますので、目先の下げ余地は大きくはなさそうです。
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