[市況]
8日の、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。9日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付きました。前場は140円安まで下げた後40円安まで下げ幅を縮める動きとなりました。後場は再び売りが優勢となり一時160円安を付けましたが、引けにかけて戻し、最終的に50円安で終わりました。日経平均は98円安で引け、出来高は20.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、330万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
8日の米国市場では、朝方にフィッチ・レーティングスが英国に財政赤字縮小を促すリポートを発表したため、欧州財政問題への懸念から売りが優勢となる場面がありました。ただ、下値の堅さを確認すると、大型株を中心に買いが優勢となり、NYDowは引けにかけて上げ幅を広げました。金相場が過去最高値を付けたことなどを背景に素材株の上げが目立ちました。バーナンキFRB議長が米景気が二番底を回避できるとの見通しを示したことも支援材料でした。
9日の日本市場では、米国市場高に加え、4月機械受注統計が市場予想を上回る増加となるなど、朝方は相場への好反応が期待されましたが、欧州の財政問題への警戒感は根強く、売りが優勢となりました。売り一巡後は値頃感に伴う買いも入りましたが、後場に入ると、SQ算出を控えた警戒感が強まり、取引時間中の年初来安値を更新し、下げ幅を一時160円近くまで拡大させる場面がありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-24.3%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-8.5%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.3ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅0.8ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.01ポイント割安ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちとなり、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 06月04日 0.5365% → 06月07日 0.5372% → 06月08日 0.5369%と高止まりながら、若干下げて落ち着いています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は8日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.72ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.4、PBRが1.11、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)-0.9%となり、日経平均は90円の割安で、マイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-210円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、円高もあり、米国市場より弱い動きとなりました。今日は、Nasdaqが4ヶ月ぶりの安値更新となったことが日経平均にも影響したようです。今夜の米国市場は、ユーロの動きの他、4月の卸売在庫や地区連銀経済報告の発表が注目されそうです。ユーロは安値圏でもみ合っています。ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場が反発した点は好材料です。ユーロ/円もそろそろ、三角持ち合い離れがありそうですので、目先は日米市場とも上下どちらかに大きく動きそうな気配があります。ただ、その先の日本市場の低迷は長引きそうです。
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