[市況]
31日の、NYDowと、NASDAQは休場でした。1日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付きました。寄り付き直後に110円安を付けましたが直ぐにもどし、前場は、小動きながら軟調な展開となりました。後場も膠着した展開が続き、最終的に20円安で終わりました。日経平均は56円安で引け、出来高は16.3億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、250万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
31日の米国市場は、メモリアルデーで休場でした。
1日の日本市場では、朝方はやや円高方向へ振れたことを受けて、売りが先行しました。寄り付き直後に誤発注とみられる売りが先物へ入ったことを受け、日経平均は一時100円超下落する場面がありました。中国の5月PMIは53.9と、前月から低下したものの、上海株市場が底堅く推移したことで、後場も底堅い動きとなりました。ただ、三連休明けの米国市場の動向を見極めたいとする空気が強く、民主党内の鳩山首相退陣論も手控え気分を誘うなど、大引けにかけては方向感に乏しい展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在り、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。総合乖離率は-20.0%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-6.1%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、25日線の下に在りますが、200日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.0ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅0.5ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.05ポイント割高ですがほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しましたが、5月3・4週間の新規失業保険申請件数が市場予想より悪化しています。一方、住宅関連では、4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の住宅着工件数や4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。4・5月の景気指標は改善傾向ながら、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は → 05月26日 0.5378% → 05月27日 0.5384% 05月28日 0.536%と久々に下降しました。05月31日は休場でした。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は28日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.96ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.9、PBRが1.13、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場が休場の為小動きでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は10円の割安で、マイナス幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-200円 ~ +140の間で推移しています。日本市場は、米国市場とほぼ均衡しています。今夜の米国市場は、5月のISM製造業景気指数の発表が注目されそうです。欧米市場が休場の為、ユーロに大きな動きは見られず、日本市場は膠着感のある相場でした。しかし、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場は冴えない動きでした。日本市場は一服となりました。反発力は強いとは言えません。需給悪やユーロ安懸念と云う悪材料はまだ解決した訳ではなく、日経平均の下落傾向も止まったとは言えそうにありません。ただ、下値で強力な陽線が出たことも有り、ユーロ安が再燃しなければ、目先は反発が続いても可笑しくありません。しかし、その場合でも25日線、あるいは200日線が頭を押さえそうです。目先の上昇余地はまだあるとも言えます。
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