[市況]
9日の、NYDowとNASDAQは下落しました。10日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付きました。前場は40円安まで下げる場面もありましたが、後場は堅調な動きが続き、最終的に50円高で終わりました。日経平均は103円高で引け、出来高は16.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、240万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
9日の米国市場では、バーナンキFRB議長が下院予算委員会で、米景気は緩やかな回復が続くとの見通しを示したことや、週初に米景気は二番底を回避すると発言していたこととあわせ、相場の支援材料になる場面があったものの、エネルギー株の配当停止の思惑が出たBPの急落やドイツのメルケル首相が同国の景気刺激策の終了を示唆したと午後に伝わり、ユーロが対ドルで伸び悩んだことも、マイナス要因でした。
10日の日本市場では、前日の下落に伴う値頃感から買い優勢で始まりました。前場は為替が円高方向へ推移したことで、下げに転じる場面もみられましたが、後場に入ると、アジア市場の堅調な動きも支援材料となり、上げ幅を拡大させる動きとなりました。大引けにかけて上げ幅を100円超へ、さらに拡大させました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-20.7%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は-7.5%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.7ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅1.6ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.04ポイント割高ですが、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の小売売上高は市場予想を上回りましたが、5月の景気指数、5月のISM非製造業景況感指数、3月の鉱工業生産指数は予想以下となりました。5月の失業率は9.7%と減少したものの、雇用者数が43万人増と事前予想の51万人増より少なくなり失望売りが出ました。一方、住宅関連では、4月の米仮契約住宅販売指数や4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。5月の景気指標はまちまちとなり、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 06月07日 0.5372% → 06月08日 0.5369% → 06月09日 0.5366%と高止まりながら、若干下げて落ち着いています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は9日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.86ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.6、PBRが1.11、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)+0.3%となり、日経平均は30円の割高で、プラス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-210円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、、米国市場より強い動きとなりました。今日は、午後にユーロ高/ドル安となったことが原因のようです。今夜の米国市場は、ユーロの動きの他、4月の貿易収支、新規失業保険申請件数、5月の財政収支の発表が注目されそうです。ユーロは三角持ち合いから、目先は上離れたようですが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場は下げました。昨日の反発は一時的なものだったようです。日本市場の信用買残は高水準のままですので、目先の上値の重い状態は続きそうです。その先も日本市場の低迷は長引きそうです。
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