[市況]
16日のNY DowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比180円高で寄り付き、前場に230円高となる場面がありましたが、後場にかけて160円安まで下落しました。引けにかけてもどし、結局80円高で引けました。日経平均は44円高でした。寄付き前の外人は1550万株の売り越しで、出来高は21.0億株と増加したものの低水準で、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が縮小しました。個別銘柄は"買い"が有利な状況ですが、ピークアウト感も出て来ました。
16日の米国株式市場では、FOMCで金利の誘導目標を0~0.25%にすると発表されたことと、FRBが国債買い入れなど量的緩和の導入を示唆したたことで、市場予想以上の金融緩和策決定を好感し、株価指数は午後に一段高となりました。ゴールドマン・サックスは上場以来初の四半期赤字決算に転落したものの、悪材料出尽くしで堅調に推移し、ベスト・バイの決算も市場予想以上となったことも支援材料でした。11月の消費者物価指数は前月比1.7%低下と、低下率は過去最大となったことや、11月の住宅着工件数は前月比18.9%減の62万5000戸と減少幅は市場予想以上でしたが、売り材料視しされませんでした。
17日の日本市場では、米市場高を好感した買いが先行したものの、買いが一巡すると次第に売りの勢いが増し、午後に円が88円台前半まで高くなると日経平均は100円を超えて下落する場面がありました。引けにかけては戻し、株価指数の方向感は乏しく、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合の内容を見極めたいとの空気が広がったようです。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇し、75日線の下に在りますが、9日線、25日線の上に在りますので、短期トレンドは"青信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-36.3%とマイナス幅が縮小し、200日線との乖離率は-28.3%とマイナス幅が縮小しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により、日本市場が0.2ポイントと割高となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント下回るレベルとなり、割安に転換しました。
NY Dowは、上昇し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、25日線の上に在り、9日線を抜きました。Nasdaqも、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、25日線の上に在り、9日線を抜きましたので、米国市場の短期トレンドは、"青信号"となりましたが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場はFRBのゼロ金利誘導を好感し大幅上昇しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、法案は廃案となったものの政府の支援表明で一旦落着いたようです。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、米投資銀行の赤字決算発表があったものの、折込澄みだったようです。市場は、ここからは、ビッグ3支援の行方と日銀の利下げに関心が向くようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、16日は上昇しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在8.2ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは14.6、PBRは0.97となりました。PBRが再び1.0を下回っていますので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、プレミアム値が高レベルでかつ、円高が影響して、米国市場の上昇率ほどには上昇しませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較た場合の日経平均のプレミアムは+5.3%(410円の割高)とプラス幅が縮小しました。プレミアム値はここ1週間は+150~+630の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線、9日線の上で、一目均衡表の雲の上限と75日線に到達し、比較的強い動きが続いています。日経平均プレミアムは高レベルでしたので、今日はさすがに、減少しました。まだ、円高抵抗力は残っているようです。が出てきた為でが、一時的な現象かどうかは明確ではありません、テクニカルには好調を維持していますが、そろそろ、下降中のボリンジャーバンドの+2σ(8870円近辺)に届きそうですので、一旦は下落の可能性が高そうです。
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