[市況]
12日のNY DowとNASDAQが上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比210円高で寄り付き、その後も終日堅調な値動きとなり、結局340円高で引けました。日経平均は428円安でした。寄付き前の外人は270万株の売り越しで、出来高は18.7億株と低水準でしたが、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が拡大し、個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
12日の米国株式市場では、米上院でビッグ3をめぐる民主・共和両党の協議が決裂したことで、米景気への悪影響が意識され、株価指数は大幅安で始まったものの、政府が金融安定化法に基づいた経営支援を検討すること明らかにしたことを好感し、自動車株を始め幅広い銘柄に買い戻しが入りました。ただ、支援が実現したとしても一時的な措置で、不透明感は根強く、不安定な値動きでした。
15日の日本市場では、ビッグ3の救済法案の廃案を嫌気して前週末に急落しましたが、米政府が救済方針を示したことで不安感がひとまず後退し、主力株を中心に売られすぎた銘柄に幅広い買いが入りました。日銀の企業短観は、景況感は悪化したものの業況判断指数が事前予想と一致したことで、あまり売り材料とはなりませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇し、75日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を抜きましたので、短期トレンドは"青信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-36.4%とマイナス幅が縮小し、200日線との乖離率は-28.2%とマイナス幅が縮小しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により、日本市場が0.2ポイントと割高となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.4ポイント上回るレベルとなり、割高となりました。
NY Dowは、上昇し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、25日線の上に在り、9日線を抜きました。Nasdaqは、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線、25日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは、"青信号"となりましたが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
日本市場は先週末の下落分を取り戻しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、法案は廃案となったものの政府の支援表明で一旦落着いたようです。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、今週の米投資銀行の決算発表が終わるまでは安心できません。市場は、ここからはも、ビッグ3支援の行方、FOMCの利下げ幅、為替に振り回されそうです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、12日は上昇しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在7.7ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは14.9、PBRは0.99となりました。PBRが再び1.0を下回っていますので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円高の中、米国市場の上昇率以上に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較た場合の日経平均のプレミアムは+6.6%(520円の割高)とプラス幅が若干縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-120~+600の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、テクニカルには、25日線、9日線の上で、一目均衡表の雲の中にあり、比較的強い動きです。日経平均プレミアムは高レベルにも関わらず増加傾向が続いています。この理由は円高抵抗力が出てきた為です。今のところ、一時的な現象かどうかは明確ではありません、テクニカルに好転しましたが、ビッグ・スリー問題も解決にはほど遠く、為替も不安定ですので、乱高下は続くと見ておくべきでしょう。
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