[市況]
10日のNY DowとNASDAQは上昇しましたが、日経平均先物は前日比40円安で寄り付き、前場は130円安まで売られました。その後は戻り歩調となり、後場には90円高まで上昇する場面もありましたが、結局60円高で引けました。日経平均は60円高でした。寄付き前の外人は1190万株の買い越しで、出来高は22.5億株と低水準ながら増加して、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が拡大し、個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
10日の米国株式市場では、政府と民主党が自動車救済法案で基本合意に達したと伝わったことで自動車株を始め、幅広い銘柄に買いが先行しました。原油など商品先物相場が堅調に推移したことで、石油や素材関連株も買われました。ただ、自動車救済法案について、複数の共和党議員が反対すると発言したことで、先行き不透明感が強まり、自動車株などに売りが出てNY Dowはは45ドル安まで下げる場面もあリました。。
11日の日本市場では、世界的な株高傾向を受けた下振れ懸念の後退から買いが継続し、7ヶ月ぶりの4日続伸となりました。朝方は、3連騰の反動による利益確定売りで下値を模索する場面もありましたが、その後は自動車やハイテク、大手銀行など指数の寄与度が高い大型株が買いを集め相場全体を押し上げました。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線、25日線の上に在りますので、短期トレンドは"青信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-36.3%とマイナス幅が縮小し、200日線との乖離率は-28.1%とマイナス幅が縮小しましが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により逆転し、日本市場が0.2ポイントの割高水準となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.3ポイント下回るレベルとなり、若干割安となりました。
NY Dowは、上昇し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線、25日線の上に在ります。Nasdaqも、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線、25日線の上に在りますので、米国市場の短期トレンドは、"青信号"ですが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場はビッグ3支援法案の進展を評価し上昇しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、法案は下院通過しましたが、上院は楽観できないようです。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、12月の米投資銀行の決が終わるまでは安心できません。全体的に市場は、悪材料に鈍感になりつつあるようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、10日は下落しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在8.3ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは14.8、PBRは0.98となりました。PBRが再び1.0を下回っていますので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率と同程度に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較た場合の日経平均のプレミアムは+4.7%(380円の割高)とプラス幅が若干縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-200~+480の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、テクニカルには、25日線、9日線を抜き、三角持合を上離れた形になり、一目均衡表の雲の中間まで上昇しました。日経平均も三角持合を上離れた形になりましたので、ビッグ・スリー支援法案が否決されるなどのサプライズがなければ、当面は9000円前後までの上昇余地がありそうです。しかし、プレミアムが大きいままですので、明日の日経平均は、今夜の米国株が上昇した場合はプレミアム分だけ上昇せず、下落した場合はプレミアム分だけ余計に下げる可能性を引き続き考慮する必要があります。
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