[ファンダメンタルの現状認識]
景気の急激な後退を示す経済指標が相次ぎ大きく下落しましたが、雇用統計発表でひと段落した感じです。しかし、ビッグ3支援は流動的ですし、12月中旬に投資銀行の決算発表を控えており、懸念材料はまだ存在します。加えて、世界同時不況の長期化と、不動産価格の下げ傾向は長期化の様相を呈しています。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は0.3ポイントとなりました。先週と比べ0.1ポイント拡大しました。200日線乖離率差では、4.2ポイント割安となり、先週比3.5ポイント割安度が増加しました。日本市場は円高が影響し、米国市場と比べ、売られ過ぎの状態に戻りつつあります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場が急速な景気後退で売られた影響で、日本市場は下落しました。
②第三四半期決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-34.7%の減益予想に悪化しました。先週からは変化ありません。
③長期金利は米国で大きく下がり、日米の金利差は1.6%から1.3%となり、為替は94-91円台と円高方向で推移しました。今週も円高方向の波乱が予想されます。
④11月初旬に、OECDによる日米の2009年のGDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%%となり、米国は-0.9%となりましたので、この面では日本市場にとって0.8ポイント強気材料となりました。
⑤外人は11月4週は買い越しでしたが、12月1週は売り越だった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が弱気材料でした。今週も①の米国市場動向と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-35.2%となり先週と比較してマイナス幅は4.1ポイント拡大し、総合乖離率は-63.9%となりマイナス幅は14.7ポイント拡大しました。3つともマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"のままです。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので短期的にも"赤信号"です。米国市場はNY Dowは25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。,Nasdaqも25日線の下に在りますが、9日線の下に在りますので、"黄信号"です。
[今週の見通し]
今週はファンダメンタル面ではビッグ3が破産法の適用申請に至るかどうかが問題となりそうです。仮に、破産法申請となれば、金融不安再燃も有り得ると考えられます。テクニカル面では、先週は結局、NasdaqとTOPIXは25日移動平均線を抜くことができませんでしたので、今週も日米市場とも、25日線を大きく抜けるかどうかがポイントになりそうです。その為には、円安、外人の買い越しへの転換などが必要と思われますが、あまり期待できそうもありません。
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