[市況]
1日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比500円安で寄り付き、前場は560円安まで売られましたが、その後は後場寄り付きにかけて340円安まで戻り歩調となりましたが、その後は軟調に推移し、結局520円安で引けました。日経平均は533円安でした。寄付き前の外人は880万株の売り越しで、出来高は18.9億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナスとなり、個別銘柄は"売り"が有利な状況となりました。
1日の米国株式市場は、直近5連騰から売りが出やすかった中で、11月のISM製造業景況感指数が36.2と前月から低下し1982年5月以来の水準に悪化したほか、10月の建設支出は前月比1.2%の減少などで売りが加速しました。金融株や半導体関連の下げが目立ちました。午後に全米経済研究所が米経済が昨年12月から景気後退局面に入ったとの判断を示したことや、バーナンキFRB議長が講演で、米経済の悪化の深刻さに言及したことも。さらに売られる材料となったようです。
2日の日本市場では、米市場の急落や急速な円高をきっかけに、輸出関連株中心に、さらなる業績悪化懸念が強まり、売られました。下値には公的年金や個人の買いも入ったようですが、限定的でした。トヨタやソニー、野村など主力株が相次いで年初来安値を更新しました。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇し、75日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を割りましたので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-67.1%とマイナス幅が拡大し、200日線との乖離率は-36.1%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度はこのところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により縮小ぎみですが、今日は拡大し、0.5ポイントの割安水準となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.2ポイント上回るレベルとなり、若干割高に転換しました。
NY Dowは、大幅下落し、75日線、一目均衡表の雲の下に在り、9日線、25日線を割りました。Nasdaqも、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在り、9日線を割りましたので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"となり、中期トレンドも、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は経済指標の悪化が止まらず大幅に下げました。市場テーマである①金融流動性危機、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は年末資金需要で銀行間金利が上昇してきて懸念が出て来ました。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権の政策発表が止むと弱気材料が前面にでてきるようです。③についても、12月の米投資銀行の決算を控え、ヘッジファンドからの資金流出など、まだ懸念があります。アナリストがシティの業績見通しを引き下げたことも悪材料となりました。全体的には、好材料が途切れて景気後退の悪材料が目だちました。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、1日は下落しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在6.5ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは13.6、PBRは0.9となりました。PBRが再び1.0を下回ってきましたので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、マイナス・プレミアムがありましたので、米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+2.6%(210円の割高)とプラス転換しました。プレミアム値はここ1週間は-180~+390の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートも、9日線、25日線を割ってしまいました。目先はビッグ3の再建策と政府対応次第とも思われますが、テクニカル視点では、結局、TOPIXとNasdaqは25日線を上回ることなく下落しましたので、日米市場とも、またしばらく、下値模索となる可能性が高そうです。
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