[市況]
2日のNY DowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比130円高で寄り付き、前場は前日終値安まで売られましたが、後場寄り付きにかけて190円高まで戻しました。その後は軟調な展開となりましたが引け際に戻し、結局160円高で引けました。日経平均は140円高でした。出来高は17.2億株と低水準でしたが、寄付き前の外人は90万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が縮小しましたが、個別銘柄は"売り"が有利な状況です。
2日の米国株式市場は、前日の大幅下落の反動やGMの10-12月期の利益が市場予想とほぼ一致したことなどから買いが先行しました。一方で、GMが発表した11月の新車販売台数が41%減と大きく落ち込むと、米景気悪化が改めて意識され、NY Dowは前日終値近辺まで水準を切り下げる場面がありました。その後、政府の追加支援確保のための再建計画を提出したこともあり、値ごろ感から取引終了間際に相場は上げ幅を広げました。
3日の日本市場は、米市場高を受け、上昇しました。原油安で紙パ関連や、電力株が上昇し、内需の通信株や、小売株の上が目立ちました。しかし、今夜の米国市場を見極めたいとの市場心理や、戻り待ちの売りに押されて伸び悩んで終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇しましたが、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-62.7%とマイナス幅が縮小し、200日線との乖離率は-34.8%とマイナス幅が縮小しましが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度はこのところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により縮小ぎみですが、今日は拡大し、0.3ポイントの割安水準となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.9ポイント下回るレベルとなり、若干割安に転換しました。
NY Dowは、大幅上昇し、75日線、、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線を抜きました。Nasdaqは、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは、"黄信号"となり、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場はビッグ3への支援期待から、乱高下の中大幅に上げました。市場テーマである①金融流動性危機、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は年末資金需要で銀行間金利が上昇してきて懸念が出て来ました。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、ビッグ3への政府支援の行方がキー・ファクターの一つになってきました。③についても、12月の米投資銀行の決算を控え、ヘッジファンドからの資金流出など、まだ懸念があります。全体的には、好悪材料が拮抗しているようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、2日は上昇しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在7.2ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは14.0、PBRは0.93となりました。PBRが再び1.0を下回ってきましたので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、プレミアムがありましたので、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.0%(80円の割高)とプラス幅が縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-180~+390の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートも、9日線、25日線の下に在ります。目先はビッグ3の政府対応次第とも思われますが、テクニカル視点では、結局、TOPIXとNasdaqは25日線を上回ることなく下落しましたし、日米市場とも、昨日の下げ幅に比べると今日の上昇幅はまだ小さく、しばらく、下値模索となる可能性の方が高そうです。
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