[市況]
11日のNY DowとNASDAQが下落したことを受けて、日経平均先物は前日比270円安で寄り付き、前場は60円安まで戻しましたが、後場は一転して売られ、一時に620円安まで下落する場面もありましたが、引けにかけて戻し、結局390円安で引けました。日経平均は484円安でした。寄付き前の外人は70万株の売り越しで、出来高はSQ日で30.3億株に増加しましたが、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が縮小しましたが、個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
11日の米国株式市場では、週間の新規失業保険申請件数が前週比5万8000件増の57万3000件と急増し、市場予想を大きく上回ったことで、雇用の悪化が警戒され、金融株を中心に売られました。自動車救済法案成立を巡る不透明感からGMが軟調だったことも影響し、株価指数を押し下げました。
12日の日本市場では、海外メディアを通じ、「ビッグ3救済に向けた修正法案が、共和、民主両党で暫定合意に達した」などと伝わり、前引けにかけて下げ渋る場面があったものの、午後に入って、米上院で民主、共和両党によるの協議が決裂したと伝わり、円が88円台まで上昇したことも影響し、輸出関連銘柄中心に失望売りが増え株価指数は急落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線の下に在り、9日線の上に在りますが、25日線を割りましたので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-50.0%とマイナス幅が拡大し、200日線との乖離率は-31.9%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により、日本市場が0.0ポイントと同水準となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.6ポイント下回るレベルとなり、割安度は拡大しました。
NY Dowは、下落し、75日線、一目均衡表の雲の下に在り、25日線の上に在りますが、9日線を割りました。Nasdaqは、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、まだ、9日線、25日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは、"黄信号"となりましたが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
日本市場はビッグ3支援法案の行方に振り回されて乱高下しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、法案は下院通過しましたが、上院では協議が一旦決裂しました。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、来週の米投資銀行の決が終わるまでは安心できません。市場は、今後もしばらくは、ビッグ3支援法案の行方に振り回されそうです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、11日も下落しました。(11月の年初来安値4.7ドルに対して現在7.6ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-34.7%で、予想PERは14.1、PBRは0.94となりました。PBRが再び1.0を下回っていますので、長期投資の視点では買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円の急騰の中、米国市場の下落率以上に下落しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較た場合の日経平均のプレミアムは+4.8%(370円の割高)とプラス幅が若干縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-200~+510の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、テクニカルには、まだ、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の中にあり、比較的強い動きですが、ビッグ・スリー支援法案成立が遠のき、為替も不安定となり、週明けも下落の可能性が高くなりました。再び、ボラティリティーの高い相場が到来しそうです。
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