[市況]
11月25日、NYDowとNASDAQは上昇しました。11月26日の日経平均先物は、前日400円高で寄り付くと、午前中は380円高から1160円高と上昇幅を拡げ、午後は1180円高から880円高の間でもみあって、結局、1080円高で取引を終えました。日経平均の終値は899円高の49559円で、出来高は23.22億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
11日25日の米国市場では、9月の小売売上高や9月の卸売物価指数(PPI)コア指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、ADP週次雇用データ等、発表された経済指標や雇用指標がいずれも市場予想を下回ったことから、12月利下げ観測が強まり、株買いにつながりました。長期金利の低下も追い風となりました。NYDowとNASDAQは3日続伸しました。
11月26日の日本市場では、前日の米株高が投資家心理を上向かせ、AI関連株や好業績銘柄を中心に買いが優勢となりました。日銀の利上げ観測を受けて銀行株が買われたほか、原発再稼働への期待から電力株にも買いが向かいました。もっとも、日経平均が節目の5万円に近付くと、主力株に戻り待ちの売りが出て上値が重くなりました。日経平均は続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は+26.5%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+20.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。
NYDowは、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線の下にありますが、9日線と200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+7.2ポイントとプラス幅を拡げ、日平均が3570円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+13.4ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均6640円ほど割高であることを示しています。
日経VIは33.26と前日より低下し、VIXも18.56と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を大きく上回り、30に達しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.54、米国-0.45と日本が3.09ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.28ポイント(日経平均換算で15650円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のISM非製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM製造業景況指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比11.9万人増で、市場予想の5.0万人増を上回りました。一方、失業率は4.4%で、前月の4.3%から悪化しました。雇用は中立的で、FRBの利下げペースに影響を与えるほどではないようです。なお、10月の雇用統計の発表は取りやめとなりました。
米国の住宅関連の指標は:
10月の中古住宅販売件数、8月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは10月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ただ、12月利下げについては「既定路線ではない」と慎重さを滲ませています。ECBは、10月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、海外経済の不確実性が高いとして、10月の金融政策決定会合でも利上げを見送り、0.5%の金利水準を維持しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが18.70、PBRが1.66となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は-3.1%で、こちらは3か月前より6.7ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と歩調を合わせて上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.5%となり、日経平均の割安幅は1880円から1280円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1880円~-710円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.25ポイントから2.20ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
11月26日の米国市場では、7~9月期のGDP改定値、10月の耐久財受注、10月の個人所得、10月の個人消費支出(PCE)、10月の個人消費支出(PCEデフレーター)、10月の新築住宅販売件数、地区連銀経済報告(ベージュブック)のほか、ディアなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを550円ほど上回り、下値は想定ラインを1110円ほど上回りました。目先は、25日線(現在50160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在48900円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として30を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は弱い状態です。きょうの日経平均は大幅に続伸しました11月20日の高値(50575円)を上回って、もみあいを上抜けることができるかどうかが、目先の注目点となりました。
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