[市況]
11月7日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。11月10日の日経平均先物は、前日比450円高で寄り付くと、午前中は160円高から660円高と上昇幅を拡げ、午後は390円高から750円高と上昇幅を拡げて、結局、740円高で取引を終えました。日経平均の終値は635円高の50911円で、出来高は24.16億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
11月7日の米国市場では、連邦政府機関の一部閉鎖が国民生活に与える悪影響が懸念されるなか、野党民主党がつなぎ予算成立に向けて歩み寄りを提案したと伝わり、主力株の一角を買い直す動きにつながりました。一方、AI関連銘柄の割高感が意識され、ハイテク株には売りが目立ちました。結局、NYDowは小幅ながら上昇に転じ、NASDAQは下げ渋ったものの続落しました。
11月10日の日本市場では、米連邦政府の一部閉鎖が解除に向かうとの期待から、運用リスクをとる動きが優勢となりました。日本株は先週末に急落していたため、好業績銘柄や主力のハイテク株を中心に自律反発狙いの押し目買いも入りました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に推移したことも追い風となりました。日経平均は反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+42.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+25.9%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+11.3ポイントとプラス幅を拡げ、日平均が5750円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+18.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均9420円ほど割高であることを示しています。
日経VIは33.72と前日より低下し、VIXも19.08と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を大きく上回り、30に達しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.48、米国-0.12と日本が3.36ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.55ポイント(日経平均換算で21880円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
10月のISM非製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM製造業景況指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。なお、9月の雇用統計の発表は延期されています。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは10月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ただ、12月利下げについては「既定路線ではない」と慎重さを滲ませています。ECBは、10月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、海外経済の不確実性が高いとして、10月の金融政策決定会合でも利上げを見送り、0.5%の金利水準を維持しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが19.35、PBRが1.69となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.3%で、こちらは3か月前より6.1ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの上昇率以上に上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.7%となり、日経平均の割高幅は440円から840円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+440円~+1400円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.43ポイントから2.45ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
11月10日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、連邦政府閉鎖や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを720円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+600円(現在51490円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-700円(現在50190円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は反発しました。このまま上昇継続するか、あるいはもみあう展開となるか、判断するには新たな材料が必要なようです。
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