[市況]
11月24日、NYDowとNASDAQは上昇しました。11月25日の日経平均先物は、前日600円高で寄り付くと、午前中は720円高から210円安と下落に転じ、午後は10円安から470円安と下落幅を拡げて、結局、410円安で取引を終えました。日経平均の終値は33円高の48659円で、出来高は24.59億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
11日24日の米国市場では、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁やサンフランシスコ連銀のデイリー総裁に続いてFRBのウォラー理事が12月利下げを支持する発言をしたことが投資家心理を上向かせ、ハイテク株などに買いが広がりました。グーグル製の新しいAIモデルが高い評価を集めていることを受けてアルファベットが6%あまり上昇したことも追い風となりました。NYDowとNASDAQは続伸しました。
11月25日の日本市場では、前日の米株式相場で主要3指数がそろって上昇した流れを受け、値がさの半導体関連株を中心に買いが先行しました。ただ、朝方の買いが一巡すると、国内長期金利の上昇基調が意識され、株式は上値が重くなりました。午後にはソフトバンクグループが大幅に下落し、指数を押し下げました。日経平均はマイナスに転じる場面もありましたが、結局は小幅に反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は+21.0%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+5.7ポイントとプラス幅を縮め、日平均が2770円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+12.8ポイントとプラス幅を縮め、日経平均6230円ほど割高であることを示しています。
日経VIは37.21と前日よりやや低下し、VIXも20.51と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.64、米国-0.42と日本が3.22ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.41ポイント(日経平均換算で17100円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のISM非製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM製造業景況指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比11.9万人増で、市場予想の5.0万人増を上回りました。一方、失業率は4.4%で、前月の4.3%から悪化しました。雇用は中立的で、FRBの利下げペースに影響を与えるほどではないようです。なお、10月の雇用統計の発表は取りやめとなりました。
米国の住宅関連の指標は:
10月の中古住宅販売件数、8月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは10月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ただ、12月利下げについては「既定路線ではない」と慎重さを滲ませています。ECBは、10月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、海外経済の不確実性が高いとして、10月の金融政策決定会合でも利上げを見送り、0.5%の金利水準を維持しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが18.43、PBRが1.64となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は-3.4%で、こちらは3か月前より6.6ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇率ほどには上げませんでした。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.7%となり、日経平均の割安幅は1260円から1880円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1880円~-710円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.32ポイントから2.25ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
11月25日の米国市場では、9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、アナログ・デバイセズ、デル・テクノロジーズ、HP、ベストバイ、オートデスクなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを200円ほど下回り、下値は想定ラインを500円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在49180円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-200円(現在47820円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は弱い状態です。日経平均の反発は小幅にとどまりました。上昇中のボリンジャーバンド-2σが近付いており、そろそろ正念場を迎えそうです。
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