[市況]
11月14日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。11月15日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は450円安から100円高の間で上下し、午後は220円安から80円高と一時プラス圏に戻して、結局、60円安で取引を終えました。日経平均の終値は52円安の50323円で、出来高は23.85億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
11月14日の米国市場では、FRBの高官が追加利下げに慎重な姿勢を相次いで示し、12月利下げ期待を牽制していることが投資家心理の重石となりました。経済指標の発表が滞っており、米景気の不透明感が強いことも売り要因となりました。一方、足元で売られていたAI関連銘柄には買い戻しが入り、相場の支えとなりました。結局、NYDowは続落し、NASDAQは4日ぶりに反発しました。
11月17日の日本市場では、中国外務省が中国国民に対し日本への渡航を控えるよう注意喚起したとの報道を受けてインバウンド関連株が売られ、相場の重石となりました。一方、前週末に下落したソフトバンクグループやアドバンテストといった値がさ株に買い戻しが入り、相場を支えました。結局、日経平均は小幅に続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+34.5%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+23.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+10.0ポイントとプラス幅を縮め、日平均が5030円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+15.9ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均8000円ほど割高であることを示しています。
日経VIは28.54と前日より低下し、VIXも19.83と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として大きく上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.52、米国-0.20と日本が3.32ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.52ポイント(日経平均換算で20560円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
10月のISM非製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM製造業景況指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。なお、9月以降の雇用統計の発表は延期されています。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは10月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ただ、12月利下げについては「既定路線ではない」と慎重さを滲ませています。ECBは、10月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、海外経済の不確実性が高いとして、10月の金融政策決定会合でも利上げを見送り、0.5%の金利水準を維持しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが19.09、PBRが1.69となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は-4.2%で、こちらは3か月前より6.3ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と歩調を合わせて下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均の割安幅は720円から540円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-730円~+430円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.42ポイントから2.41ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
11月17日の米国市場では、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを510円ほど下回り、下値は想定ラインを140円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-400円(現在50900円近辺)が上値の目安に、25日線-300円(現在49610円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は25日線にタッチして戻る動きとなりました。このままリバウンドできるかどうかが目先の注目点です。
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