[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、出遅れ感がある銘柄が買われた一方、AI関連株のバリュエーションの高さが意識されていることや、FRBの追加利下げ観測の後退で、株価指数は週間ではまちまちとなりました。
週間変動率 NYダウ:+0.34%,
NASDAQ:-0.45%, S&P500:+0.08%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、米政権の関税政策、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2026年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.61ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが23.1に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの18.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。
現在の日経平均の価格に対して、2026年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.61ポイント拡大する。(日本が下方修正又は米国が上方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが27.2程度になる。又は、日経平均が72,410円程度となる。
結果的に、中長期的に日本市場は22,030円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、22,030円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは、やや縮小しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2026年GDP予測値(現在+2.5%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目。
② 決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.8%となりました。3ヶ月前に比べて同水準です。利益伸び率は-4.2%となりました。3ヶ月前に比べて+2.2%ポイント改善しています。
③ 米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は2. 43から2. 45と拡大して、ドル円は153円台から155円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.28%下落しました。
④ OECDの日米の2026年の名目GDP伸び率は、日本が+2.5%で、米国は+4.3%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.8ポイント劣ります。
⑤ 11月第1週は売り越しで、11月第2週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に10.3ポイント(日経平均に勘算すると5190円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に16.2ポイント(日経平均に勘算すると8160円程度)割高です。
日本市場はNYダウとNASDAQより強い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
19.8と上昇しました。 日経 VI は 週間で 31.2と低下しました。米国市場は” 疑心暗鬼”状態で日本市場は”高所恐怖症”状態です。
日経平均は、9日線の下にあり、25日線の上にあります。短期トレンドには"黄信号”が点灯しています。
日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。総合乖離率は+35.4%となり、200日移動平均線乖離率は+23.8%となりました。3つの要因がプラスですので、中期トレンドには"青信号“が点灯しています。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。
米国市場は、短期的には"黄信号”で、中期的には"青信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念は残っています。また、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などもリスク要因として存在します。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。
日本市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。
為替市場を分析すると、2025年4月につけた139円をボトムに円安方向に転換しています。今週は153円台から156円台が想定されます。
今週の米国市場では、米政府の長期シャットダウン終了後、注目される民間指標には、S&P速報PMI、既存住宅販売件数、住宅市場指数、ADP週間雇用統計が含まれます。市場はまた、AI関連株の過熱感に関する新たな評価材料としてNVIDIAの決算、消費者の購買力に関する洞察を得るためウォルマート、ターゲット、ホームデポの決算を注目するでしょう。金融政策面では、FOMCの議事録が注目されます。世界的には、ユーロ圏、英国、日本のPMI、されに、日本の第3四半期GDPと10月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。
先週の日経平均は想定範囲内を上振れしました。上値は560円上回り、下値は1830円上回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在51260円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在48420円近辺)の間での動きが想定されます。
今週の日経平均は、日米のAI関連株のバリュエーションの高さとFRBの追加利下げ観測の後退への危惧が払しょくされなければ、軟調な展開が続きそうです。
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