[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、経済指標と4-6月期決算から、景気停滞懸念で週末に下落しました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題や金融改革法案成立の影響による信用収縮傾向が景気後退懸念を生んでいるだけでなく、先進国の緊縮財政が景気後退懸念を生み、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.05ポイント割安となっています。日本市場は主要企業の収益力が回復してきたこととOECDのGDP予想値の改訂で割高感は無くなりつつあります。日経平均のPERは16.2とかなり改善しましたが、S&P500のPERの13.1と比べると、企業のファンダメンタルに、まだ差が有ります。長期金利差でこれを埋める形です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は週末に大幅下落し、25日線を下回りました。今週は、下落傾向が持続しそうです。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は72%となり、今期ROE予想値は4.3%から6.7%へ改善しています。
③米国の長期金利が低下し、日米の金利差は1.9%近辺で推移し、為替は89から86円台の動きでした。今週は、87から85円台が想定されます。
④今年5月に更新された、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+3.0%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の弱気材料です。
⑤7月1週の外人は買い越しでした。7月2週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と米国経済指標発表が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、4.4ポイント割安となり、先週比0.9ポイント割安幅が拡大しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-8.0%となり先週と比較してマイナス幅が拡大しました。総合乖離率は-18.7%となりマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
今週の米国市場は、欧州の銀行を対象としたストレステストの結果公表の他、6月住宅着工件数、6月中古住宅販売件数、などが株価に影響を与えそうです。日米共に、短期的に株価は戻り歩調から反転下落しました。中期的にも、下降トレンドは続いています。株価は半年先の景気後退を暗示している面がありますので、200日線を下回る動きが続けば、景気後退懸念はますます強まり、中期低迷を余儀なくされるものと思われます。LIBORのドル3ヶ月物金利は低下傾向で、金融不安は和らいでいるものの、先進国の緊縮財政志向が景気後退懸念を生んでおり、米国の景気指標の悪化も重なって、新たな市場のテーマとなっています。日経平均は、ドバイ・ショック時につけた昨年11月27日の安値9076円をかろうじて下回わらずにリバウンドしましたが、日米共に一目均衡表の雲に跳ね返される形となりましたので、再び昨年11月27日の安値9076円を伺う動きとなりそうです。
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