[市況]
21日の、NYDowとNASDAQは下落しました。22日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付きました。前場は20円安まで下げ幅を縮める場面がありましたが、後場寄りにかけて110円安まで売られる展開となりました、その後は膠着した相場となり、最終的に80円安で終わりました。日経平均は57円安で引け、出来高は26.6と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1000万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡がりました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
21日の米国市場では、朝方は小幅高で始まりました。好決算を発表したアップルやモルガン・スタンレーなどを中心に買いが入りました。その後は午後2時過ぎからのバーナンキ議長の議会証言を前に様子見ムードで推移しました。議会証言は景気見通しが慎重だった一方で、追加の金融緩和については「必要に応じて用意は整えておく」と述べるにとどめた。市場では前日から、追加緩和について議長がより前向きな発言をするとの思惑が出ていた為、議会証言が始まると売りが広がりました。小売りなどの消費関連株や、金融株などを中心に売りが膨らみ、NYDowは164ドル安まで下げる場面がありました。
22日の日本市場では、米国市場安と円高進行を受けて、朝方から売りが優勢となりました。売り一巡後は値頃感から下げ渋る場面もみられましたが、後場に入ると円高がさらに進み、先物主導で一段安となりました。下げ幅は一時100円を超え、終値ベースの年初来安値9191円を下回る場面もありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-22.6%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-9.7%とマイナス拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NYDowは200日線、9日線の下に在り、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線の下に在り、9日線、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。中期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.0ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.07ポイント割高となり、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びでしたが、FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正しました。4-6月期決算発表が始まり、アルコア、インテル、アップルは市場の予想以上でしたがTI、IBM、GSは市場予想を下回りました。経済指標では、5月の耐久財受注、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、7月の連銀景気指数、6月の小売売上高、6月のISM製造業・非製造業景況感指数、6月の消費者信頼感指数、は予想以下となりました。6月の失業率は9.5%と減少したものの、雇用者数が12万人減と事前予想の10万人減より増えやや弱材料となりました。一方、住宅関連では、6月の住宅着工件数が予想以下となり、5月の新築住宅販売件数の水準は過去最低で、マイナス幅は過去最大となりました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+3.8%で予想を上回りました。6月の景気指標と住宅関連指標は悪化しています。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めと、人民元弾力化の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の資本不足問題は解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。さらに、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 07月19日 0.5178% → 07月20日 0.5125% → 07月21日 0.5063%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は21日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.94ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.8、PBRが1.06、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%となり、日経平均は120円の割安で、割安幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ1週間、-280円 ~ +20の間で推移しています。日本市場は、円高の割に米国市場より弱い動きが改善しました。今夜の米国市場は、6月の中古住宅販売件数、6月のコンファレンスボード景気先行指数やキャタピラー、AT&T、マイクロソフトの4-6月期決算の発表が注目されそうです。欧州ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化と景気回復の両立の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない環境に大きな変化は見られませんが、G20以降、為替市場はこの材料に厭きてきた面もあるようです。さらに、23日のストレステストの結果発表を控え、LIBORも落ち着いていますので、金融不安に関しては安心感が出てきたようです。ドル/ユーロでは4月高値の半値戻しを達成しましたが、直近は弱含みです。米国市場では、景気後退懸念が主テーマとなってきた面があり、4-6月期好決算期待との間で綱引きとなっています。ここからは、日経平均は米経済指標の内容と米国主要企業の4-6月期決算内容次第と思われますが、目先は、23日のストレステストの結果発表を控えて大きく動きづらい環境ですが、どちらかと言えば、引き続き下振れリスクが高そうです。
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