[市況]
7日の、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。8日の日経平均先物は、前日比230円高で寄り付きました。その後は、前場、後場ともに上下60円幅の狭いレンジの推移となり、最終的に250円高で終わりました。日経平均は256円高で引け、出来高は16.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、600万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
7日の米国市場では、金融サービス大手ステート・ストリートが発表した業績見通しを受け、来週以降に相次ぐ大手金融機関の4-6月期決算への期待が高まりました。金融株が軒並み上昇し、相場をけん引しました。欧州銀行監督委員会がストレステストの具体的な実施要領を発表したことが投資家心理を改善させたとの見方もありました。ユーロが対ドルで上昇したことも金融市場の落ち着きを連想させ、好材料となりました。
8日の日本市場では、米国市場の大幅上昇を背景に、朝方から全面高の展開となりました。寄り後に9500円台を回復しましたが、5月機械受注統計が市場予想を大幅に下回ったこともあり、その後は上値の重い展開となりました。後場は円高一服などを背景に、先物への買い戻しが断続的に入り、上げ幅を260円超へ広げる場面もありましたが、売買高は低水準にとどまり、高値圏での膠着状態からは抜け切れませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。総合乖離率は-16.0%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-6.9%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の下に在りますが、25日線、9日線を上回りました。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、25日線、200日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.3ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.5ポイント割高となりました。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の4月-6月期決算発表に対しては、期待感が出てきました。経済指標では、5月の耐久財受注、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、6月のISM製造業・非製造業景況感指数、6月の消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀景気指数、5月の小売売上高は予想以下となりました。6月の失業率は9.5%と減少したものの、雇用者数が12万人減と事前予想の10万人減より増えやや弱材料となりました。一方、住宅関連では、4月の住宅関連指標は好調でしたが、5月の住宅着工件数が予想以下となり、5月の新築住宅販売件数の水準は過去最低で、マイナス幅は過去最大となりました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+3.8%で予想を上回りました。5月、6月の景気指標はまちまちで、住宅関連指標は悪化しています。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、人民元弾力化の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。さらに、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 07月05日 0.5313% → 07月06日 0.5311% → 07月07日 0.5299%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は7日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.90ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.5、PBRが1.11、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均は120円の割高で、プラス幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ1週間、+20円 ~ +330の間で推移しています。日本市場は、円安傾向の割には米国市場より伸び悩みましたが、米国市場より強い動きが続いています。今夜の米国市場は、新規失業保険申請件数や6月のチェーンストア売上高の発表が注目されそうです。欧州ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化と景気回復の両立の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に大きな変化は見られませんが、G20以降、為替市場はこの材料にそろそろ厭きてきた面もあるようです。さらに、ストレステストの結果発表を控え、LIBORも落ち着いていますので、金融不安に関しては安心感が出てきたようですが、米国市場では、景気後退懸念が主テーマとなってきた面があり、経済指標の発表がより注目されそうです。日・米市場共、下げ過ぎを示すテクニカル指標もあり、今日は大きくリバウンドしました。暫くは、リバウンドが続くと思われますが、引き続き、戻りの勢いに注目する必要がありそうです。
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