[市況]
29日の、NYDowとNASDAQは下落しました。30日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付き、前場は徐々に値を下げる展開となりました。後場開始直後に190円安を付ける場面もありましたが、引けにかけて徐々に値を戻し、最終的に160円安で終わりました。日経平均は158円安で引け、出来高は21.2億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、110万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
29日の米国市場では、シマンテックやコルゲートなど四半期決算の内容や業績見通しが失望を誘ったハイテクや消費関連株を中心に、利益確定売りが優勢となりました。また、セントルイス連銀のブラード総裁が発表した論文で、米国の金融政策が日本型デフレに陥る可能性を高めている可能性があると指摘したことで、米景気の低迷が日本のように長引くとの思惑を誘い、NYDowは一時110ドル安まで下げ幅を広げる場面がありました。
30日の日本市場では、米国市場安に加え、6月の鉱工業生産指数が4ヶ月ぶりに低下したほか。取引時間中に円高が進んだことも重しとなり、売り優勢の展開となりました。後場寄り直後に9500円割れ寸前まで売られた後は下げ渋ったものの、大引けにかけては米4-6月期実質GDPの発表などを控え買い手控えムードが強まりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は-10.6%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-6.5%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、25日線、9日線の上に在りますが、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.0ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.15ポイント割高となり、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びでしたが、FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正しました。4-6月期決算発表が始まり、アルコア、インテル、アップル、キャタピラー、GE、フェデックス、デュポンは市場の予想以上でしたがTI、IBM、GSは市場予想を下回りました。経済指標では、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、7月の連銀景気指数、6月の耐久財受注、6月の小売売上高、6月のISM製造業・非製造業景況感指数、7月の消費者信頼感指数、は予想以下となりました。6月の失業率は9.5%と減少したものの、雇用者数が12万人減と事前予想の10万人減より増えやや弱材料となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上で、6月の中古住宅販売件数が市場予想ほど減りませんでしたが、6月の住宅着工件数が予想以下となりました。5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.5%で予想を上回りました。6月の景気指標と住宅関連指標は悪化しましたが、7月はやや改善しています。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めと、人民元弾力化の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の資本不足問題は解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安はひとまず落ち着いたようですが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、重要不足から世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 07月26日 4875% → 07月27日 0.4812% → 07月28日 0.4750% → 07月29日 0.4656%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でMAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は29日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.12ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.5、PBRが1.10、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は60円の割安で、割安幅は拡がりました。プレミアム値は、ここ1週間、-250円 ~ +10の間で推移しています。日本市場は、円高進行で米国市場より弱い動きとなりました。ドルベースでは改善しています。今夜の米国市場は、4-6月期GDP速報値、7月のミシガン大学消費者信頼感指数やシェブロン、メルクなどの4-6月期決算の発表が注目されそうです。欧州銀行のストレステストは通過後の米国市場では、景気後退懸念が主テーマとなってきた面があり、4-6月期好決算と雇用や消費の低迷との間で綱引きとなっています。日本市場は円高進行を嫌気した動きとなりましたが、25日線は下回りませんでした。今後、25日線を下回る動きとなるか否かを見る必要があります。また、米国市場ではNYDowとNasdaqが一目均衡表の雲を抜けず、正念場が続いています。日本市場の動きは、為替の動きにより敏感になってきたようですが、ストレステストが終わり為替は米国のマクロ経済指標により、影響されそうです。
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