日経平均の予想: [2010/05/21]日経平均の今後の見通し

Friday, May 21, 2010

[2010/05/21]日経平均の今後の見通し

[市況]
20日の、NYDowと、NASDAQは大幅下落しました。21日の日経平均先物は、前日比310円安で寄り付きました。前場は350円安まで下げた後に、後場寄りにかけて210円安まで下げ幅を縮める場面がありましたが、その後も100円幅で上下し、最終的に310円安で終わりました。日経平均は245円安で引け、出来高は26.0億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、420万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
20日の米国市場では、アジア・欧州株の下落を嫌気して売りが先行しました。欧州の財政悪化や緊縮財政が世界景気の後退に繋がるとの懸念から国際的に事業展開する景気敏感株に売りが膨らみました。また欧州の金融規制強化の流れが信用収縮につながるとの見方から、株の持ち高を圧縮する動きも続きました。これ等の影響で、金融株も売られました。朝方発表された週間の新規失業保険申請件数が市場予想に反して増加したこともマイナス材料となりました。
21日の日本市場では、欧米市場が大幅下落し、対ドル、対ユーロともに円高が進んだことを受け、朝方から全面安となりました。売り一巡後もリスク回避から下げ幅を一時300円超に拡大させ、約5ヶ月半ぶりに9700円を下回る場面がありました。その後に上海市場の下げ幅が縮小したことが下支え要因となりましたが、日経平均が9800円を上回る水準では上値の重さを示し、大引けにかけては方向感に乏しい展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-22.1%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-5.6%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に抜けました。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に抜けました。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.3ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅2.1ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しましたが、5月3週間の新規失業保険申請件数が市場予想に反して増加し懸念が生じました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、4月の住宅着工件数も4ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、5月は世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、これで、沈静化するかどうかは不透明です。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は20日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.63ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.0、PBRが1.14、ROEが6.7%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均は130円の割安で、プラス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-240円 ~ +230の間で推移しています。日本市場は、ここ8日は米国市場より弱含みで推移していましたが、強含みに変りました。これは、昨夜以来の動きはユーロ安ではなく円高であることを示しています。今夜の米国市場では、注目されそうな経済指標の発表はなさそうですので、欧州市場の影響を受けそうです。欧州市場で、ユーロは少し買い戻されていますが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らないようです。一方、上海市場も中国の金融引き締め懸念は織り込みつつあるようですが、もたついています。日本市場は信用買い残や裁定買い残が膨らんできたこともあり、出直りの為には、投げ売りがでるような急落局面か又は、時間が必要とならざるを得ないようです。今日の出来高を見る限り、信用の投げが大量に出たとは思えません。日経平均の正念場はまだ続きそうです。日経平均は200日移動平均線を5日下回っています。直ぐに戻らないと、中期的に下げトレンド入りの可能性が高くなります。ただ、テクニカルには25日線との乖離率が-8.7%、騰落レシオが68、サイコロジカルラインが25%など底値圏接近を示すものが多くなっていますので、目先の反転は近そうです。


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