[市況]
27日の、NYDowと、NASDAQは大幅上昇しました。28日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付きました。前場は小動きながら、やや上昇する展開でした。後場は40円高まで上げ幅を縮めた後戻り歩調となり、最終的に150円高で終わりました。日経平均は123円高で引け、出来高は23.2億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、270万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
27日の米国市場では、「中国がユーロ圏の国債保有を見直す」という前日のFT報道を中国当局が否定したことを受け、ユーロがとまず下げ止まり、投資家心理が改善しました。原油の大幅高もあり石油株や素材株が買われたほか、金融株の上昇も相場を押し上げました。週間の新規失業保険申請件数や1-3月期の米実質GDP改定値が市場予想に反して下方修正されましたが、相場の反応は限定的でした。
28日の日本市場では、米国場の急伸、ユーロ安・円高の一服など、朝方は、外部環境の好転を好感した買いが先行しました。前場中ごろには上げ幅を180円超へ拡大させましたが、週末を迎えているほか、第一生命のTOPIX組み入れに伴うリバランスの影響も警戒され、伸び悩む展開となりました。後場は円高ぎみの動きもあり、上げ幅を60円程度まで縮小させる場面がありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-19.6%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は-5.7%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、25日線の下に在りますが、200日線、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。中期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅2.4ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月-3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しましたが、5月3・4週間の新規失業保険申請件数が市場予想より悪化しています。一方、住宅関連では、4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の住宅着工件数や4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。4・5月の景気指標は改善傾向ながら、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は 05月25日0.536% → 05月26日 0.5378% → 05月27日 0.5384%と上昇しています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は27日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.02ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.1、PBRが1.14、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均は90円の割安で、マイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-200円 ~ +140の間で推移しています。日本市場は、米国市場より弱い動きとなりました。今夜の米国市場では、4月のPCEコア・デフレータ、5月のシカゴ購買部協会景気指数や5月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が注目されそうです。欧州市場で、ユーロ売が一休みしていますが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場の下げは一段落したようです。日本市場はテクニカルに売られ過ぎ圏まで下げたこともあり、2日連続の反発となりました。しかし、需給悪やユーロ安懸念と云う悪材料はまだ解決した訳ではなく、日経平均の下落傾向も止まったとは言えそうにありません。ただ、下値で強力な陽線が出たことも有り、ユーロ安が再燃しなければ、目先は反発が続いても可笑しくありません。その場合でも25日線、あるいは200日線が頭を押さえそうです。
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