[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、世界景気の減速懸念で大幅に下落した後、ユーロ安が一服したことで若干リバウンドしました。一方、中長期的には、景気は改善しつつあるものの、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題や金融改革法案の影響による信用収縮傾向が、景気後退懸念を生み今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.1ポイント割高となっています。日本市場は3月期決算発表が進み、収益力は回復してきたこととOECDのGDP予想値の改訂で割高感はほぼ無くなりました。日経平均のPERは17.0とかなり改善しましたが、S&P500のPERの13.8と比べると、企業のファンダメンタルに、まだ差が有ります。長期金利差でこれを埋める形です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は大幅下落後自律反発しました。今週は、リバウンド力を試す動きとなりそうです。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は72%となり、今期ROE予想値は4.3%から6.7%へ改善しています。
③米国の長期金利が低下し、日米の金利差は1.9%と2.1%の間で動き、為替は89から91円台の動きでした。今週も、89から91円台が想定されます。
④今年5月に更新された、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+3.0%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤5月3週の外人は売り越しでした。5月4週も売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週後半は①③③が強気材料でした。今週も引き続き、①②③と欧州の財政問題が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、6.62ポイント割安となり、先週比3.4ポイント割安幅が拡大しました。
一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-5.7%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。総合乖離率は-19.6%となりマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは25日線の下に在りますが、200日線、9日線の上にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には"黄信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の日・米国市場はリバウンドしましたが、まだ本格的とは言えません、日経平均は、200日線を大きく下回る状態が続いています。今週の米国市場は、欧州の財政問題の他、5月のISM製造業景気指数、5月の雇用統計などが株価に影響を与えそうです。日本市場では3月期決算の発表で増益基調となり予想PERは17.0まで改善してきましたので、欧州の財政問題が一旦落ち着けば、日経平均にプラスに働く要因となり、リバウンドが続くことが期待できそうです。しかし、LIBORドル3ヶ月物金利が上がり続けていることから、金融危機懸念は和らいでいないと考えられる点からリバウンド力は弱いと考えられます。25日線、200日線を越えられるか否かを注目する必要があります。
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