[市況]
24日の、NYDowと、NASDAQは下落しました。25日の日経平均先物は、前日比140円安で寄り付きました。前場は徐々に下げる展開となりました。後場も下げが続き、最終的に30円安で終わりました。日経平均は298円安で引け、出来高は23.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、270万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
24日の米国市場では、スペインの中央銀行が経営難の地方銀行カハスールを管理下に置いたと発表したことで、欧州の金融システムへの不安が再燃し、バンカメなど大手金融株に売りが膨らみました。NYDowは下げ幅を一時140ドルに広げました。4月の中古住宅販売件数は市場予想以上に増えましたが、在庫水準が上昇したこともあり、住宅建設株は安く終えました。
25日の日本市場では、欧州の金融システム不安の再燃を受け、対ユーロで円高が進行したことや、韓国の哨戒艦沈没事件をきっかけとする朝鮮半島情勢の緊迫化も重しとなり、朝方から売りが優勢となりました。投資家によるリスク回避の動きが続き、寄り後もジリジリと下げ幅は拡大しました。後場に入るとアジア市場の下落も悪材料となり、大引けでは昨年11月30日以来、約半年ぶりに9500円を割り込みました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-30.1%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-8.7%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅2.1ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.4ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しましたが、5月3週間の新規失業保険申請件数が市場予想に反して増加し懸念が生じました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、4月の住宅着工件数や4月の中古住宅販売件数は市場予想以上に改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、5月は世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は05月20日0.484 %→ 05月21日0.497%→ 05月24日0.509%と上昇しています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は24日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.78ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.0、PBRが1.11、ROEが6.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均は100円の割安で、マイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-190円 ~ +230の間で推移しています。日本市場は、米国市場より弱い展開に変化しました。今夜の米国市場では、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数、 米3月の住宅価格指数、 米5月消費者信頼感指数などの経済指標の発表が注目されそうです。欧州市場で、ユーロが売り直されていますが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らないようです。一方、上海市場も下げています。日本市場は信用買い残や裁定買い残が膨らんできたこともあり、出直りの為には、投げ売りがでるような急落局面か又は、時間が必要とならざるを得ないようです。今日の動きを見ても売り方の買い戻しのエネルギーは少ないようです。日経平均の正念場はまだ続きそうです。日経平均は200日移動平均線を7日下回っています。直ぐに戻らないと、中期的に下げトレンド入りの可能性が高くなります。日本市場の自律反発力は弱く、欧米市場次第の動きが続きそうです。テクニカルには25日線との乖離率が-10.6%、騰落レシオが66.6、サイコロジカルラインが25%など底値圏を示すものが多くなっていますので、リバウンドは何時あってもよい水準に達しました。ただ、朝鮮半島をめぐる地政学的リスクも高まっていますので、大きなリバウンドは望み薄と思われます。
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