日経平均の予想: [2010/05/19]日経平均の今後の見通し

Wednesday, May 19, 2010

[2010/05/19]日経平均の今後の見通し

[市況]
18日の、NYDowと、NASDAQは大幅下落しました。19日の日経平均先物は、前日比180円安で寄り付きました。前場は220円安までさらに売られた後は寄値に戻す動きとなりました。後場は戻り歩調となり、最終的に120円安で終わりました。日経平均は55円安で引け、出来高は24.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、60万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態ですが、売られ過ぎを示しています。
18日の米国市場では、朝方は、ユーロがドルや円に対して上昇したことや、4月の米住宅着工件数が市場予想を上回ったことで上昇して始まりましたが、ドイツ政府が同国の一部金融株やユーロ圏の国債などに空売り規制を導入すると報じられたことで、各国政府が金融市場の規制強化に動けば投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方が広がり、株式市場でも売りが優勢となりました。
19日の日本市場では、ドイツ政府による空売り規制発表や、EUのヘッジファンド規制案などを受け、信用収縮懸念が強まったことで、朝方は全面安の様相となりました。ユーロを中心に円高が進んだことも警戒され、日経平均株価の下げ幅は一時200円を超える場面もありました。その後は円高一服を受け、10000円を目前に押し目買いが入りました。後場は上海株市場の上昇も投資家の安心感を誘い、大引けにかけては下げ幅を縮小させました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-11.6%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は-1.7%とマイナス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは200日線の上に在りますが、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅1.2ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.4ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、4月の住宅着工件数も4ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、これで、沈静化するかどうかは不透明です。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は18日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.73ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.8、PBRが1.21、ROEが6.8となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、先週末の米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均は90円の割安で、割安幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-310円~-40の間で推移しています。日本市場は、ここ7日は米国市場より弱含みで推移していますが、改善傾向です。今夜の米国市場では、5月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、4月のコンファレンスボード景気先行指数、米4月の半導体製造装置BBレシオの発表が注目されそうです。欧州市場で、ユーロ売りが続いています。ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らないようです。一方、上海市場では中国の金融引き締め懸念は織り込みつつあるようです。また、米国市場の異常な急落の原因についてSECの中間報告がありました。原因は複合的なもののようですが、対策も見え始めましたので、こちらも徐々に織り込むものと思われます。残るはユーロ安ですが、まだ底は見えません。日本市場も信用買い残が膨らんできたこともあり、出直りの為には、投げ売りがでるような急落局面も考慮しておく必要性が出てきました。いずれにせよ、出直りには時間が必要なところまで下げてきたようです。日経平均は200日移動平均線を3日下回っています。直ぐに戻らないと、中期的に下げトレンド入りの可能性が高くなります。日経平均は正念場を迎えたようです。ただ、テクニカルには底値圏を示すものが多くなってきました。



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