[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、好決算や経済指標の好材料にはほとんど反応せず、ギリシャ発の金融危機懸念で大幅に下落しました。一方、中長期的には、景気は改善しつつあるものの、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、EU加盟国のソブリンリスク問題や金融改革法案の影響による信用収縮傾向が、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が1.6ポイント割高となっています。日本市場は3月期決算発表が進み、収益力は回復してきたものの、米国市場に比べ企業利益の低迷が割高の原因です。日経平均のPERは24.5で、S&P500のPERの14.4と比べると、企業のファンダメンタルに、まだ大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は大幅下落となりました。今週は、目先の下げ止まり点を探る動きとなりそうです。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は改善傾向で、今期ROE予想値は4.3%から5.4%へ改善しています。
③米国の長期金利が低下し、日米の金利差は2.4%と2.2%の間で動き、為替は93から89円台の動きでした。今週は、90から93円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+1.8%となり、米国は+2.5%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.7ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤4月4週の外人は小幅売り越しで、5月1週は大幅売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週はギリシャ問題が弱気材料でした。今週も引き続き、①③とギリシャ問題、3月期決算内容が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、1.9ポイント割安となり、先週比5.0ポイント割安幅が縮小しました。
一目均衡表では、雲の下に抜け、200日移動平均線乖離率は0.5%となり先週と比較してプラス幅は縮小しました。総合乖離率は-8.8%となりマイナス転換しました。1つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在り、短期的には"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には"赤信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の米国市場は、一時1000ドルを割るなど波乱相場となりました。ドル円相場は93-89円のレンジでの動きとなり、日経平均は、米国市場よりは堅調な推移となりました。今週の米国市場は、ギリシャ問題の他、11日発表の中国の経済指標発表、12日発表の3月の貿易収支、14日発表の4月の小売売上高、4月の鉱工業生産、5月のミシガン大学消費者信頼感指数などが株価に影響を与えそうです。日本市場では3月期決算の発表が本格化しますが、引き続き、増益基調が予想されます。これ等は本来、日経平均にプラスに働く要因となりそうです。ギリシャ発ソブリンリスク問題が一旦落ち着けばリバウンドがありそうですが、何時になるかは、読みづらい状況です。
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