日経平均の予想: [2010/05/27]日経平均の今後の見通し

Thursday, May 27, 2010

[2010/05/27]日経平均の今後の見通し

[市況]
26日の、NYDowと、NASDAQは下落しました。27日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付きました。前場は徐々に下げ幅を縮める動きとなりプラス転換すると、後場は一段高で寄り付きその後も堅調な動きが続きました。最終的に160円高で終わりました。日経平均は117円高で引け、出来高は23.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、10万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
26日の米国市場では、OECDが、2010年の加盟国の実質成長率の見通しの上方修正を発表したことや、4月の新築住宅販売件数が予想を上回ったことなどで、朝方は買いが優勢でした。午後に英フィナンシャル・タイムズ電子版が、中国がユーロ加盟国の国債保有を見直していると報じたことで、ユーロが対ドルなどで下げ幅を拡大。欧州財政問題の根深さを嫌気した売りが出て、株価指数は急速に下げに転じました。
27日の日本市場では、米国市場が終盤にかけて下げに転じたことや、ユーロの軟調推移が続いていることなどが嫌気され、朝方は売りが先行しました。一時は9400円を割り込み、取引時間中の年初来安値を更新する場面もありました。ただ、その後にユーロ安が一服すると、上げに転じました。後場はアジア市場の堅調推移が支援材料となり、大引けでは10日ぶりに5日移動平均線を上回りました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-23.6%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は-6.9%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.2ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅1.9ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、5月の消費者信頼感指数、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しましたが、5月3週間の新規失業保険申請件数が市場予想に反して増加し懸念が生じました。一方、住宅関連では、4月の新築一戸建て販売件数が市場予想を上回り、4月の住宅着工件数や4月の中古住宅販売件数も市場予想以上に改善しました。一方、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は弱含みでした。4・5月の景気指標は改善傾向ながら、世界市場の下落が景気の行き先懸念を生んでいます。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、欧州の銀行を中心に、新たな金融不安が生じています。EU各国は最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意しましたが、沈静化するには至っていません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3カ月物金利の推移は05月24日0.509% → 05月25日0.536% → 05月26日0.538%と上昇しています。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でした。
シティグループの株価は26日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.86ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.8、PBRが1.13、ROEが6.7%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.4%となり、日経平均は140円の割高で、プラス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-120円 ~ +230の間で推移しています。日本市場は、米国市場より強い動きとなりました。今夜の米国市場では、1-3月期GDP改定値や新規失業保険申請件数の発表が注目されそうです。欧州市場で、ユーロ売が一休みしていますが、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らない状況に変化は見られません。一方、上海市場の下げは一段落したようです。日本市場は信用買い残や裁定買い残は減りつつあるものの高水準で、出直りの為には、投げ売りがでるような急落局面か又は、時間が必要とならざるを得ないようですが、今日も出来高は低水準で、さほど買い残の減少は進んでいないようです。日経平均の正念場はまだ続きそうです。日経平均は200日移動平均線を9日下回っています。直ぐに、戻す気配は感じられませんので、中期的に下げトレンド入りの可能性が高くなりつつあります。一方、テクニカルには、日足が包み線となる強気サインがでたことや、25日線との乖離率が-7.8%、騰落レシオが67、サイコロジカルラインが33%など,まだ底値圏であることなどから、目先はリバウンドが期待されます。ただ、LIBORは上げ続けています。まだ、金融不安は終息しておらず、ユーロ安と世界市場の株安連鎖も終息したとは言えません。日経平均の下落傾向も止まったとは言えそうにありません。


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