[市況]
6日の、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。7日の日経平均先物は、前日比460円安で寄り付きました。前場は徐々に買い戻す展開となりました。後場も一段と買い戻す動きとなりました。後場中頃には売り戻される場面もありましたが、大引けにかけて急速に買い戻され、最終的に250円安で終わりました。日経平均は331円安で引け、出来高は31.2億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、260万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
6日の米国市場では、ギリシャなど一部のEU諸国の財政問題が落ち着くまで時間がかかるとの見方が強まり、投資家が手じまい売りする動きが続きました。ユーロが対ドルや円で下落し、原油も下げました。米市場でも欧州の金融株安につれて、金融株を中心に幅広い銘柄に売りが膨らみました。NYDowが午後の短い時間帯に9869ドルまで一気に下落したのはP&Gや3Mなどの銘柄が瞬間的に2-4割さげるなど、誤発注や取引システムの技術的な要因が大きいとの見方もありました。
7日の日本市場では、欧州信用不安に端を発した金融市場の混乱を受け、朝方から全面安となりました。日経平均株価の下げ幅は一時約440円に達する場面もありました。ただ、日銀が2兆円の緊急資金供給を実施したことに伴い円高が一服すると、下げ幅を縮小させる場面もみられました。その後は信用不安の動向や米4月雇用統計の結果を見極めたいとの空気は根強く、大引けにかけては荒っぽい値動きとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在り、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。総合乖離率は-8.8%とマイナス転換しました。200日線との乖離率は+0.5%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。1つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号から黄信号に変りました。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線を下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは200日線の上に在りますが、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変りました。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.6ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が1.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びでしたが、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。3月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数が16.3万人増と事前予想よりは少なかったものの改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足は解消し、一旦、金融は正常化したように見えますが、変って、各国の財政赤字拡大が経済運営上のリスクとなりつつあります。ギリシャや財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっていますが、まだ、解決したとは言えません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は6日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4..04ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが24.5、PBRが1.30、ROEが5.3%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%%となり、日経平均は20円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-400円~+30円の間で推移しています。日本市場は、米国市場よりは下げ渋りました。今夜の米国市場では、4月の雇用統計が注目されそうです。欧州のソブリン・ショックの影響は思いの他影響が大きかったようです。その結果、25日移動平均乖離率が-6.5%となるなど、目先は反転が期待できる水準まで下げました。米雇用統計やEU首脳会議の結果などが反発材料となる可能性が考えられます。しかし、日米市場の中期的トレンドが赤信号となれば、相場の回復には時間が掛かりそうです。
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